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3.お迎え(日常 流衣、伊織、海、要、誠一郎)
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「…つまり?お前らの親父は、女何人も嫁にして子供作ってて?で、このガキのおかんと共に事故死して、このガキは行くとこないからここに来たってのか?」
「…そーみたいね?」
「そうみたいじゃねぇわ!なに呑気に麦茶飲んでんねん!」
伊織はぎゃーぎゃーと騒ぎ立ててるが、うまく話をまとめてくれた。
つまり、たしかにこの子達は弟であることは間違いないと。
伊織の分の麦茶を客間の机に置いて、空調の調整をする。
今日は少し暑いね。
「おっかしいやろ!仮に両親死んだんなら施設なり親戚なりが面倒見るもんちゃうんか?なんでここにくんねん!」
「ねー、不思議だよね。親父とは縁切ってたし。どうやってこの家突き止めたんだろう。この手紙も誰が書いたんだろうね。」
「いやいやいやいや、警察もんやこんなん!未成年誘拐とかシャレにならん!あーやだやだ!海君連絡して!」
まぁ。伊織が言っていることはごもっともで。
その手紙に仮に名指して名前があったとしても。
この子達が本当に親族なのか計りかねる。
警察に連絡すべきだよねぇ。
ちらりと流衣を見ると、困ったような顔でこちらをみてた。
いやいや、私は助けられないよ?こればかりは。
「ふっ…ふぅぎゃあー!!!!」
「「「?!」」」
段ボールが泣き出した。
否、正確には段ボールの中身。
あらあら、どうしたものか。
段ボールのもとに行き、白い布を外した。
そこには泣き叫ぶ赤ん坊。
「ぎゃぁああああ!!」
どうしたものかわからないけど。
とりあえず、その小さな体を抱き上げてみた。
「Oh…Baby…」
「…マジかよ…無理やって。」
「…一応、この子も俺の弟みたい。」
「…えぇ加減にせぇよ、お前ぇぇえ!」
伊織と流衣が騒いでる端で。
赤ん坊を抱っこして揺らしてみると、少し泣き止みかけている。
あぁ、赤ん坊ってこんな感じなんだなー。怖いわー。
どうしたらいいんだこれ。
ゆらゆらしてると、自分のシャツが引っ張られた。
引っ張られた先を見ると、男の子。
「セイちゃんの。これ。」
少年が持ってたのはおしゃぶり。
あー、なるほどね。
少年からおしゃぶりを受け取ると、赤ん坊に与えてみた。
赤ん坊はあぐっとくわえて黙り込んだ。
おおー、すげぇ。
「ありがとう。」
「うん!セイちゃんのお兄ちゃんだから、俺が面倒みないと。」
「セイちゃんっていうの?この子?」
「うん。誠一郎だよ。」
この子が赤ん坊と兄弟なのは間違いなさそうだ。
というか、この子が真相を理解しているのでは?
結構頭良さそうだよな、この子。
「私はカイ。君の名前は?」
「九條 要(クジョウ カナメ)。○○小学校にいってる。」
「近くの学校だね。お母さんは?」
「お父さんとお母さんは死んだって。車でぶつかったって聞いてる。」
「ここまで、どうやってきたの?」
「おばちゃんの車で。おばちゃんがこの手紙もって、このうちにいくって。この家には俺のホゴシャがいるから、ここが新しいお家だよって。」
「んー、おばちゃんの連絡先わかる?電話番号とか。」
「覚えてるよ。」
「良い子だね。お兄ちゃんに教えてくれる?」
「お兄ちゃんがホゴシャ?」
「いや、あっちの大きいオジちゃんがホゴシャだよ。」
「だれがオジちゃんだ。」
「電話番号はホゴシャにしか教えちゃいけないって、約束したから。」
おやおや、しっかりした子じゃないか。
つまりそのおばちゃんとやらが連れてきたのね。
これは直接聞くしかあるまい?
流衣に目配せすると、流衣は肩をすくめるアクションを取って立ち上がった。
「あー、要君かな?お兄ちゃんにおばちゃんの電話番号教えてー。」
「うん」
少年は元気よく立ち上がり、流衣と共に部屋を出て行く。
これで変われば良いけれど。
腕にかかる重さがそろそろ辛い。
赤ん坊を見下ろすと大きな瞳と目があった。
「…ぱ!」
赤ん坊はおしゃぶりを勢いよく吐き出した。
あらあら、やんちゃだなぁ、
「ぱ、じゃねぇわ!あー、頭痛なってきた。これ、絶対あかんやつや…」
赤ん坊を抱く私ではなく、伊織がそうひとりごちって伊織も部屋を出て行った。
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