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1.新学期(日常 伊織、海、要、)
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醤油のさわやかな香りが漂う。
今晩のご飯は伊織のリクエスト通り、すき焼きです。
夕方に流衣から連絡があり、そのついでに晩ご飯のメニューを聞かれたので答えると嬉しそうな声がして。
そして、帰ってきた流衣の手には綺麗な木箱があり、お土産として渡された。
恐る恐る箱を開けると、木箱に美しく納められた霜降り肉が。
まぁ、それはそれは美味しそうで。
すき焼きのメインとして堂々と鍋の上で光り輝く。
そろそろ食べられそうだね。
「はい、どーぞ。」
「「「いただきます!」」」
仲良く合唱。
男2人とお子様は、きちんと行儀良く手を合わせて声もそろえる。
いいね。
いい感じに躾けられてます。
「この卵どうするの?」
「なんや要。お前すき焼き食ったことないんか。生卵を器で溶かして、鍋のもん食うもんなんやで。」
「わかった!美味しそうだね!」
「お肉うまっ。買ってよかったね。」
「流衣、わざわざ帰りにいいお肉買ってきてくれてありがとね。すんごい綺麗なお肉だった。」
「はーん、たまらんなぁー。これやねんなー、食べたかったの。海君味付け最高やでー。うまぁー。」
各々感想を述べながらもぐもぐと箸を進める。
いいね、美味しそう。
さて、私は誠一郎君のご飯を用意しますかね。
「給食より海くんのご飯の方が美味しい。お昼ご飯給食になるのちょっと残念。」
「え?もう学校始まるの?」
「うん、だってもうすぐ9月だもん。新学期だよ。」
失念していた。
カレンダーを見れば、もう8月も残すところ2日。
新学期。
懐かしい響きだなぁ。
いや、まて。
要普通に学校いけんの?
「…ねぇ流衣。学校の手続きって何か必要なんじゃないの?」
「あー…どうなんだろ。でも、転校でもなければ名前も変わんないし。いけるんじゃね。」
「いや、荒川さんに一応確認取ってくれる?必要なものが有れば私がやるから。」
「あー、そうだね。聞いてみよっか。ご飯の後電話しとくよ。」
「すまないね。」
流石にね。
何かしら手続きがあると思うからね。
まぁ、大した問題はないとは思うんだけど。
さーて、本日の誠一郎君のご飯は、サツマイモとリンゴのペーストだよ。
化学調味料を使わず、素材の甘みのみ。
美味しいと思うよ。きっとね。
「要、お前宿題終わったんか?」
「うん。あと一つ残ってるだけ。」
「げっ。マジ?やばない?何残してんの?」
「夏休み日記。最後の日まで書かないと。」
「あー…。偉いね、要。俺は最後の日まで夏休みの初日に(何もない日でした)って全部に書いて終わったよ。」
「それありなん?何も突っ込まれんの?」
「何も言われなかったよ。伊織ちゃんはちゃんとやった?宿題。」
「夏休みに宿題なんてナカッタ。」
「えー?いいなー!伊織!」
「そんなわけないでしょ。伊織がやらなかっただけなんでしょ。要に嘘教えないで。」
「しらーん。お肉もらいー。」
「あ。伊織、ちゃんとネギも食べなさい。豆腐もね。」
「うふふ!」
「なんや、要。」
「ご飯美味しいなって!」
「まぁ、海君のご飯うまいけどな。改まってなんやの。」
「うふふ!なんか嬉しかっただけ!僕もネギ食べる!」
「ほら、器貸して。私がとってあげるよ。」
「ありがとう!海くん!」
いい子だね、要。
しっかり食べて大きくなれよ。
とりあえず、9月からはお昼に要が居なくなるのね。
寂しいような、自立していくようで嬉しいような。
もう立派な10歳なんだけどね。
ガチャ
「海くーん。」
「あぁ、流衣。何か飲む?」
「あぁ、じゃあお水もらえる?レモン入りの。」
「はいはーい。」
食後に各々就寝前行動のため解散したのち、私はキッチンで片付けをしているとリビングに入ってきた流衣。
電話をするためにリビングから出ていた流衣はちょっとお疲れ気味の表情。
大丈夫かな。
磨いたトールグラスにロックアイスを砕いて入れて、そこにミネラルウォーターとスライスしたレモンを2枚。
夏はこれが美味しいんです。
手にグラスを持ち、キッチンを出る。
流衣はリビングのソファにちょうど座ろうとしていた。
「あれー?伊織ちゃんは?」
「要と伊織は2人でお風呂に行ったよ。」
「あーん。そっかー。ちぇー。じゃあ海くん俺と一緒に入る?」
「もれなく誠一郎君もついてくるけどいいの?」
「あ、それならお任せしますー。」
ケラケラと笑う流衣。
まぁ、さすがに私も誠一郎の世話を貴方にさせる気はないですが。
そんな寂しがりだったか?君は。
流衣が座るソファのサイドテーブルにコースターを置いて、トールグラスをその上にセットした。
「ありがと。」
「うん。それで?荒川さん、なんだって?」
「あぁ、なんかね。とりあえず未成年後見人には俺がほぼほぼ確定なんだって。あとは書類待ち。だから学校には問題なくありのまま連絡していいって。」
「連絡?」
「うん。とりあえず近く要の住所変更するでしょ?でも、未成年後見人の確定書類が届かないと住所変更出来ないけど、とりあえず要は家に居るし、今後はこの家から通うわけだからその住所変更予定の連絡。と、緊急連絡先が変わるからその連絡と、一応家庭環境の説明は大まかにしといたほうがいいって。緊急連絡先は俺でも良いけど、優先は海君にしといて貰えると助かる。仕事抜けれないと困るから。」
「分かった。じゃあ、明日要の学校連絡してみるよ。夏休みだからいるのか分からないけど。ありがとう、流衣。」
まぁ、そんなものだろうとは思っていたけど。
やっておかないと、なんとなく心地悪いしね。
要に変な心配もかけたくないし。
「はー…要が学校かー。子供育ててるって感じ。」
「今更?」
「いやー、まぁね。なんかこう。考えたことなかったからさ。子供がいる生活って。」
「……まぁ、そうか。」
「でしょ?俺らが子供なんて作れるわけないからさ。」
「流衣は子供欲しかったの?」
「いや、全然。そんなこと考えたこと無かった。伊織ちゃんさえ居れば良かったから。」
「だろうね。」
「今は、彼らが来てくれて良かったと思うけどね。伊織ちゃんも楽しそうだし。海君も。」
「うん。」
「ありがとね。」
こちらこそ。
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