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電話の
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今日は土曜日で学校は休みだが一ノ瀬は学校で仕事があるらしく、家に居なかった。
プルルルル...プルルルル...
「はい。一ノ瀬です。」
俺はいつもどうり電話に出る。最初は自分のじゃない苗字を名乗るのを戸惑ったけど、もうだいぶ慣れた。
まぁ1年半も暮らしてりゃ慣れるか。
「あれ?拓真そんなに少年声だったっけ?」
女の人の声だ。拓真って一ノ瀬のことだよな。下の名前で呼ぶなんて親しいのかな?
「あの、一ノ瀬、あっ、拓真さんはまだ、帰ってきてないですけど。」
女の人は「そうなの?」と声のトーンをひとつ下げ、「じゃあ伝言お願いするわね。」と伝言を俺に伝えて一方的に電話を切った。
俺は10秒くらいその場に立ち尽くし、その場にしゃがみ込んでしまった。
そして俺は伝言の内容を思い返した。
『たまには、彼女に電話ぐらいしてこい。』
俺は、なぜか口に出すことができなかった。
言葉にしてしまったら真実かどうか確かめる間もなく一ノ瀬を疑って、独りで空回りしそうだったから。
俺は一年前の俺とは違う。一年前みたくいつでも泣きわめいていい年じゃない。それに、どんな事があっても俺は一ノ瀬を信じるって決めたんだ。
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