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僕は
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それからは少し忙しく、目が覚めても数日の間は学校に行けなかった。
電動車椅子の試乗、家にある僕の荷物を運ぶこと、今まで休んでいた分の勉強。
担当のお医者さんが言ってくれたのか、それとも母さんが頼んでくれたのか、僕は一人部屋を与えられ、さらに荷物も好きなように置いていいと言われた。
みんな、僕の最後のわがままに付き合ってくれてる。
病気になって、僕は改めて自分がいかに恵まれているかを知っていた。
今まで当然だったことが、なんて幸せなことなんだろうと思えた。
心配して時々メールを送ってきてくれるアラシ。
泣きながら「心配した」とお見舞いに来てくれた如月先生。担任や、ほかの先生も。
最後まで僕を愛してくれる母さん。
僕の願いを無理をしてでも叶えようとしてくれるお医者さん。
こんな遅くじゃなくて、もっと早く気づけばよかった。
気づきたかった。
でも、後悔するのはもうやめた。
僕にできることはほんの少ししかなくて、
僕に残された時間もほんの少ししかない。
一秒だって、無駄にするわけにはいかない。
前を向こう。一歩一歩、大切に歩きながら。
疲れたら、目を閉じよう。僕の背中を押してくれる人達がいる。
進もう。
僕は、最後まで僕として生きたいから。
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