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僕の幸福理論
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如月(保健医)side
アズマくんが、記憶喪失になった。
原因は、事故のショックと今までのストレス。
しかも、ただの記憶喪失じゃない。
アズマくんは、自分の事だけを全て忘れてしまった。
自分の名前。
どんな人間だったか。
あと、俺とどうやって知り合ったのかも。
最後のは、アズマくんの目が覚めて少ししてから分かった。
きっかけは、日にちの誤解。
もう12月なのに、アズマくんは11月だと思っていた。
それを聞いて、俺はアズマくんに二つの質問をした。
浜田脩くんとの関係。
病気の進行具合。
浜田脩くんとの関係は特にないと答えた。
病気の進行具合も、今のところ倒れていないと言った。
アズマくんは、初めて倒れてから後のことを覚えていなかった。
多分、精神的に耐えられなかったんだと思う。
そのあとすぐにあの事件も起こったし、
もしかしたら、心の底では、
全部全部全部、忘れたかったんじゃないかって。
そう思ったら、後悔が止まらなかった。
なんで気づいてあげられなかったんだろう。
シュウくんに嵌められて、ヒトミくんから嫌われて。
俺しか、頼れる人なんていなかったのに。
俺だって保健医だから、病気の深刻さぐらい分かってた。
病院と学校とで連帯を図らなきゃいけないから、担当医の方から直接状態も聞いた。
だから、危険な状態で相当なストレスもかかってるってことを、俺は十分理解してたんだ。
なのに。
俺は。
「…っ……ぅう…」
眠ってるアズマくんのとなりで、息を殺して泣いた。
俺に泣く権利なんてないんだ。
本当に泣きたいのは、きっとアズマくんだ。
何も覚えてないかもしれない。
でも、アズマくんは勘が鋭いから、きっと何か気づいてる。
それでもその何かがわからなくて、自分が誰かもわからなくて。
アズマくん、きっと心で泣いてるんだ。
ごめん。
「ごめん…!」
ごめんなさい、アズマくん。
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