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僕の幸福理論
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12月16日
どうやら、先生の呼んだ「アズマくん」という名前は、僕の名前らしい。
そういえば、自分がどこに住んでるのか、何歳なのか、どんな性格だったのか、僕はなんにも思い出せなかった。
先生によると、僕は自分の事だけを全て忘れてしまったみたい。
僕は、そんなに僕のことを忘れたかったのかな。
まあ確かに、こんなに体力もなくて回復力もない僕のことなんて、忘れたかったのかもしれないけど。
先生いわく、無理をしすぎて僕は倒れたらしい。そして、今の今まで眠っていたそうだ。
僕は11月後半の感覚だったけど、実際は12月16日。軽く2週間は眠っていたらしい。
そりゃあ、足の筋肉も衰えるわけだ。
学校は、任意で通うことになった。
ただし、車椅子で。
これが、先生に聞いたこと。
正直、先生の様子から本当かどうかは疑わしい。
でも、先生は僕を騙すような人じゃないし、きっと理由があるんだと思う。
例えば、僕のため、とか。
そしたら僕は、何も言えない。
多分、先生が僕に伝えてないことはまだあると思う。
知りたいと思うし、教えて欲しいとも思う。
だけど、先生が選んだのは教えないという道で、そうなったら先生は意地でも言わないんじゃないのかな。
それに、それを考える度に頭の奥がズキズキして、「ああ、僕は思い出したくないのかな」と思う。
まぁ、忘れたくらいなんだから、思い出したくないのも当然だよね。
それを知らないうちは前に進めないと分かってるけど、どうしても勇気が出ない。
まぁ、余命は2月だし、きっと何かわかる日が来る。
この時の僕は、そんな甘いことばかり考えていた。
タイムリミットが、もう目前に迫っていることも知らないで。
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