アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
久しぶりの我が家。
-
兄ちゃんがお風呂から上がってきた。
シャンプーとかのいい匂いがふわっとする。
「駿、入っておいで。」
「うん…」
「どうかしたの?」
「ごめんね…兄ちゃん…」
小さい時からずっと面倒をみてくれて
困った時はいつでも助けてくれて…
常にそばにいてくれた兄ちゃんに
すごく申し訳なくなった。
「泣いてるの?」
「ごめんね…ずっと…ずっと面倒みてくれたのに…厄介払いみたいなことしちゃって…本当に…ごめんなさい…」
「……。」
「俺…ほんとに兄ちゃんのこと…嫌いになったとか…そんなんじゃ…っ」
俺の身体を暖かく包む体温と
いい香り。
気がつくと俺は兄ちゃんに抱きしめられていて…
「わかってたよ。駿がいつか、誰かを好きになるってことは。兄ちゃんじゃない他の人をね。」
「ごめんなさい…」
「謝ることなんてないんだよ。自然なことだもの。ずっと兄ちゃんだけを頼っていてほしいって思ってはいたけど、本当に好きになってほしいって思ってたけど…そんなのは無理だって、兄ちゃんちゃんとわかってたから。」
兄ちゃんの言葉を一つまた一つと聞いていくうちに
どんどん心が苦しくなっていく。
どれだけ今まで俺を想ってくれていたのか。
どれだけ守ってくれていたのか。
こんなの…まるで…
俺が紫苑に片想いしていたときと同じ。
いや、そんなもんじゃない。
兄ちゃんはずっと…
俺が小さい時から…ずっと…ずっと…
なんで気付かなかったんだろう。
なんで気付いてあげられなかったんだろう…
「なんも気にすることないんだよ。駿は今好きな人と幸せなら兄ちゃんも幸せだから。でももし何かあったらいつでも言うんだよ。駿の悲しむ顔なんか見たくないから。」
「兄ちゃん…大好きだよ…ほんとにありがとう…」
「なんもだよ。ほら、涙拭いて。お風呂入って暖まっておいで。」
「うん…」
兄ちゃんは俺の涙を優しく拭ってくれた。
何度も大好きだと言ってるけど
兄ちゃんからしたら
辛くはないんだろうか。
ひょっとすると
兄ちゃんには酷なことを言ってしまっているのかもしれない。
けど、兄ちゃんのことは
本当に大好きだ。
兄ちゃんとして。
家族として。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
199 / 214