アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
そんなキミを。
-
「…友ちゃん、元気?」
「?なんで?元気やで」
「そ。ならええけど」
うん、元気だと思うよ?でもな、わかんねん。
俺にはわかんねん。
友ちゃんが少しずつ元気がなくなるのがわかる。微妙な気持ちの変化でしかないけど、俺にはそれがびしびし伝わってくる。
友ちゃんはあれから、益々優しくなって、可愛くなって、柔らかくなって、弱くなった。
中村悟が後輩兼友人から、恋人に変わってから。
こんなことになるんやないかと、少なからず俺は懸念してた。あのあほが友ちゃんの弱点になるんやないかと。
「悟、おらんの?」
「えー、なんで知ってんの?諒」
「…なんとなく」
「スゴいな諒!」
後4日したら帰ってくるよ、と友ちゃんは笑った。
色のいっぱいついた小さな手の平で、指を四本めいっぱい開いて俺に見せるその姿はほんまに天使のようで、俺は正面から見る事ができひんかった。
きゅ、と油絵の具の蓋を閉めてテーブルに投げて筆を手にして、自分の二倍はあるキャンバスにその先を走らせた。
俺はそんな友ちゃんをファインダー越しに覗いて、シャッターを切った。
「なにしてんの??」
「いや、気にせんと描いててええよ」
「ふふふ、変なの~」
笑顔を切り取れたらいいのに。
俺のカメラはキミを撮る為にあるって、知ってた?
「なーんて、言えるか」
「えー?なん?」
「んーん。そや、悟帰ってくる日、空いてたら俺も友ちゃんとこ遊び行ってええ?」
「ええよ~、やっと仲良くしてくれる気になったんや、諒!」
なんでもない俺の言葉にキミは頗る嬉しそうに微笑むんだ。
ごめん、そんなつもりは毛頭ないよ。でも、
「んー、そんなとこ」
「悟も喜ぶわー」
ほんとに嬉しそうにそう言うから、そういうことにしておくよ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 117