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なにがどうなってこうなった?2
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「友希」
「ん?まだなんもできてへんよ?」
「うん、わかってる」
わかってるやろ?僕が何を聞きに来たのかなんて。
なのに、知ってか知らずか、いつも通りに包丁を手にしてタマネギを真っ二つに割った。
危なげないその手付きを見つめてもう一度、
「なんか、隠してる?」
遠回しに聞くなんて器用なことできひんし、ストレートに切り出したら、動揺する素振りも見せずに、何もないよ~、って笑った。
いつもならここで、そっか。って思えるけど、今日はなんだか落ち着かない。
「さっきの、」
「なんもないって。貰っただけ」
「誰に?」
一瞬しまったという顔。友希、ウソつくのヘタやもんね。
貰ったって言ってしまった手前もう、観念したのか僕を振り返った。
「バイト先の常連さんの人から」
「男?女?」
「男だよ。サラリーマンみたい」
「ふーん…。なんで…友希のこと誘うん?」
「んー?」
食い下がる僕に、目尻を下げながら答える。
あかん、僕今めっちゃカッコ悪いことしてる。でも、止められへん。やって、気になってしゃあないんや。
なんでライブハウスに通うような人がわざわざ、美術館みたいな対局にあるような場所を選んで、友希を誘ったのか。
「なんでやろね?わかんないけど」
あは、と笑って誤魔化そうとしてる。
だからちょっと、ちょっとだけイラついてしまったんや。
包丁を置いて、塩を取ろうと伸ばした手を掴んでしまった。
「デート?デートしよって誘われたん?」
「…なにそれ」
「やって、美術館なんて、友希が行きたがるようなとこやん。それやって、こないだ行きたいって言ってたやつやろ?その人に言うたん?行きたいって」
僕を見上げる友希を見下ろしてると、あかんあかんと頭でわかっているのに、言葉を止められへんくなった。
「何言うてんの?悟」
「その人カッコいいん?大人やもんね、きっと僕みたいに子供じみたこと言うたりせんのやろうし、美術館やってきっと友希と行ったら、」
「なにそれ」
いつも優しい友希の瞳に色がつく。初めて見る怒りの色。
言葉は優しくても、友希を纏うオーラみたいなんが、怒りの色になってく。
やって、やって。
「友希のこと好きやなかったら、そんなとこ誘ったりせえへんやろ!友希やって、ほんまは行きたいんやないん?!」
一気にまくし立てるように言ってから、しまったと思った時にはもう遅かった。
じっと僕を見つめていた友希がふーっと静かに息を吐いて、
「悟、今日はもう帰って」
僕から離れて行く友希。
背中を押されて、玄関に連れてかれるとリビングから上着を持ってきて渡された。
「おやすみ悟」
「…」
顔も見てくれずにドアが閉められた。
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