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なにがどうなってこうなった? 7
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「・・・、で?」
「え?」
社長が消えてから、鈴木さんが僕の方を見ずに切り出した。あ、やっぱり鈴木さんにも感づかれてた。そらそうか。
水を一口飲んで、からからになった喉を潤すと、手帳でぱたぱたと顔を仰ぎながら僕を振り返る鈴木さんと目が合った。
うん、怒ってない。珍しく眉間に皺寄ってへんね、鈴木さん。
でもほんま、高校を卒業してからずっと、僕のお世話をしてくれてるこの人は、きっと今では一番の理解者であることは間違いないんよね。
「昨日、友希、怒らせてもうてん・・・」
「うん。それで、悟はどうしたい」
「・・・」
どうしたい?・・・どうしたいんやろ、どうしたいなんて考えたことなかった。
やって、いつでも友希が横におって、おしゃべりして笑って、どうしたいとかやなくてそれが普通やったから。だから、
「・・・どうしたらええか、わかんない」
「ほんまにお前は」
ため息交じりに、
「いつまでも子供やなぁ」
頭をぽんぽんと軽く叩かれてから、
バシッ
「ったーっっ」
「うるさい」
珍しく優しいと思ったら、ちゃうかった!やっぱり怖い人やこの人!
きらりと光る八重歯が伸びてきてんで。マジで。手帳でばしばしと頭を連発して叩かれる。
「今日の仕事、なんやあれは」
「だから・・・」
「そういうの、友希君一番嫌うんとちゃうか?それも、自分のせいやったなんて知ったら、尚更やろ」
「あ・・・」
そうや。鈴木さんに言われて初めて気づく。友希は誰よりも僕のこの仕事を応援してくれてる人で、その妨げになるようなことは絶対しないって、いつも言うてることやった。
なにそれ、そんなこと絶対ないよ。
って僕が言うても、うん、念のためね。ってふんわりと笑ってた。
「それに、どうしたいかなんて決まってる、お前が怒らせたんなら友希君に謝ればいいだけや、ごめんって」
「・・・」
はっとする。鈴木さんの言う通り、やることなんて決まってるのに。怒らせたのは僕の方。友希は話をしようとしてたのに、冷静じゃいられなくなってまともに話を聞かなかったのは僕。
「うん、ありがと、鈴木さん」
今度は優しくぽんぽんと、背中を叩いてくれた。
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