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なにがどうなってこうなった? 9
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マンションに着いて、「ちゃんと謝ればわかってくれる」鈴木さんが言った言葉が僕の背中を押してくれた。
車の中で友希とのやり取りを全部話した。黙って聞いてた鈴木さんは
「お前の気持ちもわからんでもないが、よく考えてみろ、友希君はそんな子か?それに、お前ももう少し自分に自信持て」
とだけ言ってからそのあとはその話題に触れることはなかった。
結局車が到着したのは一時を過ぎてしまって、マンションも静けさに包まれてる。なるべく足音を立てないように友希の部屋の前で立ち止まって一つ深呼吸する。
もしかしたら寝てるかもしらんから、鍵をゆっくりと差し込んでかちゃりと回す。
体を滑り込ませると案の定真っ暗の友希の家。
そっと部屋を覗き込むが、ベッドに膨らみはなく友希は寝てなかった。
リビング・・・?
でも灯りついてへんしな。
さらに音を立てないように移動して、リビングへ入る。こちらも真っ暗で、ざわざわと一気に不安が募った。
念のためキッチンと、風呂場も覗きに行くがやはり友希の姿はない。
部屋中の電気をつけて確認しても、やはり友希はおれへん。
僕があんなこと言うたから、ほんまに、どっか、行ってしまったのか。
「友希?どこ?」
今日はバイトは無いはずやし。本当ならば今日友希のバイトがないから、僕も早めに仕事を終わらせて一緒に借りてきてた映画を観るはずやったのに。
テレビの横に無造作に置かれたDVDのケースが目に入って、なんか泣きそうになった。
あかん、どこ、友希。
さっき見たからおれへんのはわかってんのに、もう一度寝室を覗きに行く。電気を着けるがそこにあの可愛い友希の寝姿は見当たらない。
どこ?どこ行ってん友希、まだ怒ってる?ちゃんと話したいのに。ちゃんとごめんって言いたいのに。
謝りたいのに謝りたい相手は、そこにはおらんくて。どうしようもない僕はゆらりと立ち上がり、友希の家を後にした。
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