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なにがどうなってこうなった? 【終わり】
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僕の枕に友希の綺麗な金髪の髪が散って、眠そうに瞼を擦るとゆっくりと僕を見上げる。そしてやらかい口調で僕の名前を呼んだ。
「さとる、おかえりぃ」
「ゆ、え、なんでここ??」
慌てるあまり自分のベッドなのに入ることを忘れて、友希を見下ろしてると、半分寝惚けているのかゆったりと話し始めた。
「さとると、話そうって思って、あっちで待っててんけど・・・なんか、淋しくてなぁ。ここやったら悟の匂いするやんか・・・、悟不足やねんなぁ・・・」
う・・・わ、やばい。
なにそれ、さっき僕が思ってたんと一緒やん。なんでこんなめっちゃかわええこと言うん、こんな時に。
帰ってくるまで色々考えて、シミュレーションしてたことが全部吹っ飛んで、僕は茫然と立ち尽くしてた。謝ろうって思ってたこと、部屋に友希がおらんくてどうしようどうしようって考えてたこと、と思ったら本人が今度は自分の部屋におって、しかもベッドに寝ちゃってて、寝惚け眼で愛らしいことを口にすること。
全てが頭の中をぐるぐる回ってく。
そして、
「ごめんな、悟」
「え、」
「俺があかんかってんな。誤解されるような言い方、して」
むくりと起き上って、ベッドの上に正座を始める友希、そしてそのまま深々と頭を下げる。
え、やめて、なにやってんの友希。謝るのは僕の方やって。
慌てて友希の肩を掴んでその体を起こすと、勢い余って後ろに倒れそうになったから、そのまま引き寄せた。
今まで寝ていたせいかその体はあったかくて、思わずぎゅうと抱き締めそうになる。
「ごめっ、」
「・・・ありがと」
ばくばくばくばく。
付き合い始めて、初めて友希を抱き締めた時くらい心臓が音を立ててる。なんでこんな緊張してんのか。
頭の中の段取りができてなくて一旦落ち着こうと友希を離そうとしたら、今度は友希から、
「待って、このまま聞いて」
「・・・友希」
「ほんまに俺、悟しか見てへんし、こなだの誘われたのやって、なんとも思ってへんよ?悟が言うようにデートしてって言われたけどちゃんと断るって決めてたし、最初からそんな気なんて無かったしな。でもな、」
「で、も?」
友希がきゅとしがみ付いてきた。
肩に顎を乗せて、耳元で甘い声が聞こえる。
「こんなこと思ったらあかんのはわかってるけど、嘘つきたくないから、言うな?」
「うん」
「・・・悟と、悟と一緒に美術館とか、遊園地とか、そういうとこに行けたらええなぁって、ちょっとだけ思って、それで、なんとなく、行くこととか勝手に想像したりして。そんな目立つとこ行かれへんってわかっててんけど、悟の迷惑にしかならんってわかってるけど、なんか、そんな気持ちがどっかにあって、あのチケット、捨てれんかってん」
迷惑って・・・、そんなこと思ってたんや。そんな風に思ってくれてたんや。
なのに僕は、最低の言葉で友希を罵ってしまった、きっと、傷つけてしまった。
ごめんね。
て、友希がもう一度つぶやく。
「友希ごめん!僕の方こそごめんなさいっ!勝手に怒って、めちゃくちゃなこと言うて、傷つけて、ほんまにごめんっ」
「・・・んふふ、悟やぁ、俺の大好きな悟がおる」
友希の顔は見えんけど、きっといつものように笑ってくれてるんやと思う。
「許して・・・くれる?」
「なに言うてんの、俺かて悪かったんやで?お互い様やろ?」
「友希」
この人はなんて。
子供過ぎる僕をこんな言葉で許してくれて、辛くて辛くて悲しくて泣きそうやった僕の体を大きな心で包んでくれる。
「友希、ごめんね、大好き」
「んふふ、俺も」
一度離れると、照れたように笑う友希があまりにも愛おしくて、ちゅ、とキスをした。そしてそのまま手を繋いで、僕と友希の間に空気も入らないくらい友希を抱きしめたまま眠った。
ぎゅうと抱きしめたまま
「今度、夜の水族館いこ?夜やったらわからんし、友希、魚好きやろ?」
囁くと、一瞬驚いた表情をして直ぐにふにゃりと蕩けるような笑顔を浮かべて「うん」と頷いた。
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