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藍色の時間 3
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「悟、ありがとな、今日」
「ううん、僕もめっちゃ楽しかったし!」
巨大な水槽を後にしてそのまま館内を見て回った。メインの水槽以外は意外と人間がおらんくて、結局手を繋いだまま歩くということはできひんかったけど、通路沿いに設置された小さな水槽をくまなく覗く友希の後ろから同じように水槽を覗いて(やって身長差約20センチやし)一度だけ、周りに誰もおらん時間がぽっかりできて、
ちゅ。
キスしてしまった。
キョロキョロと周りを確認して、(何度も言うけど僕は誰がおっても全然構わんのやけど)後ろから不意に抱き締めて、驚いて振り返った瞬間そのやらかい唇に、ちゅ。
目を見開いて身体を強張らせる友希が可愛くて思わず舌を入れようとしたら、
「ちょっ、」
さすがに身体を押し返されてしまった(笑)
車に戻ってその時のことを思い出して、にやけてくる。
「ふへへ、キスしちゃったね、友希」
「あっ、ほんま悟、あれあかんやろっ」
「えー?やって誰もおれへんやったよ?」
「そういう問題やないやろっ、公共の場で・・・」
「やって、キスしたかってんもん」
「・・・もー」
口を尖らせて、ほっぺたをぺちと叩かれた。ま、確かに公共の場やけど最近の若者たちはどこでもキスするから、変わらんやろ。僕らも。
エンジンを掛けてエアコンを掛けると冷たい風が友希の前髪を揺らした。
そや。
「な、このまま帰るの勿体ないし、海行かん?」
「え、ええの?時間・・・」
「うん、大丈夫。明日昼過ぎからやし、遅くなっても顔浮腫まんやろ」
体調管理に煩い(もとい、厳しい)鈴木さんから一番注意されてることが顔のむくみ。
元々食べることが大好きで、太りやすい体質ということもあり、毎日のように言われてる。(鈴木さん曰く僕は言い続けんと忘れるらしい)
ハンドルに手を掛けて、オーディオに手を伸ばすとちっさい声で、
「いき、たいかも。連れてって、悟」
「・・・友希」
なななな、なんて可愛いんや!!!!
遠慮がちに僕を見て上目遣いでそんな台詞。
「どこでも連れてく!」
「あはは」
駐車場の暗い明かりでわかりにくいけど、少しだけ赤くなった友希が渡してくれたお茶をぐびぐび飲み干してアクセルを踏み込んだ。
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