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ゆけむり物語 1
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結構真面目に仕事をしてるほうやと思う。
仕事も嫌いやないし、一つの仕事が終わると達成感も感じる。
だから。
「あんな、鈴木さん」
「どうした改まって」
「お願いあんねんけど」
「お願い?」
「そう」
今日は、朝から何回もシミュレーションしてきた。失敗は許されへん。
僕のお願い聞いて。
「温泉旅行」
「??」
「行きたいねんけど、お休み下さい!」
「…まーた、突然どないしたん」
当然のように鈴木さんが溜め息混じりに笑った。
遡ること約1日。今が朝の9時、ちょうど12時間前の夜。いつものように友希の家でご飯を食べて、二人でまったりとテレビを観てた。
そん時ぼそりと友希が言った。
「温泉ええなぁ」
「え?」
「あ、いや、なんもないよ」
「なんもなくないやろ、今何がええなって?」
「……」
口を噤んでしまった友希を後ろから抱え込んで、首元に顔を埋めてもう一度囁いた。
「なあ、友希」
「…」
またガマンする。何でも言うって、言ってって約束したのにまだ自分を押し殺す。
「友希、なぁ」
「温泉、ええなぁって」
「温泉?」
確かに今テレビでやってるのは、どっかの温泉街で起きた殺人事件。内容なんて最初から見てなかった僕は友希のその言葉に驚きつつ、納得した。
「わかった、友希待ってて」
「へ?」
「んふふ」
で、朝一番、鈴木さんにお願いした。
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