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ゆけむり物語 14
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プルルル・・・。
部屋の電話が鳴った。フロントからやないとしたら、あの人からや。なんの警戒心も無く友希が受話器を取る。
「はい、あ、社長さん」
やっぱり!
気を取り直して今日の予定を立ててた時やった。レンタルバイクのお店を探してから友希を後ろに乗せてドライブしようとか、有名なお店のランチを食べに行こうとか、そういうことを話してた時やった。なのに。
「あ、はい、はい。わかりました。ほな」
「ちょ、どうしたん?」
「んー?なんか、今日は無理やろうけど明日一緒にどこかいかん?って」
「どこか、って」
「なんかヘリコプター乗せてくれるって。遊覧飛行行くから一緒にどう?って」
「はぁ?!」
遊覧飛行・・・あんのセレブ野郎。確かに僕やとヘリコプターとか乗せてあげられんけど。(10分くらいやったらいけるで)
「すごいなぁ、やっぱり上坂さんって社長さんなんやな!」
普通に感動してる。しかも嬉しそうやし。ちょっと、なんであの人邪魔してくるん。イライラしてんのがばれたのか、友希がくるりと振り返るとぽんぽんと僕の頭を軽く撫でてくれた。
「んふふ、俺は悟がおったらなんでも楽しいんよ?」
がばっ!
友希ぃぃぃぃ!大好きやぁぁ!
「今日は予定通り二人で遊ぼうな?」
「うんっうんっ」
さ、と気を取り直して身支度を整えた僕らは宿を出た。
その日は天気も抜群で、大型バイクを借りて(ちゃんと安全運転やで)友希を乗せて山を走った。
東京の雑踏から解放されて、マイナスイオンに包まれた緑の山道をゆっくりと昇るとその先に展望台があって、さすがにこんなとこに僕を知ってる人達なんてそうそうおらんから、結構自由に歩き回る。ソフトクリーム食べて、ジャガイモにチーズのっけて焼いたやつとか、兎に角僕の大好きな食べもんがいっぱいあって、ランチに辿り着く前にお腹いっぱいになるくらい。
「友希~、あれ、あれも食べようやっ」
「悟、ほんまよう食べるなぁ」
「やって、しばらく撮影無いって言うてたらから、大丈夫やろ」
「・・・そういう問題か?」
くすくす笑いながら、なぜこんなところにというようなイカ焼きを買ってくれた。
太陽がまぶしいくらいで、ポカポカ陽気の中バイクを走らせる。背中に回される腕をたまにぎゅと触ってみると身体の横から僕を確認するように顔を出してにっこり笑うもんやから、僕はそれだけで幸せを噛みしめた。
ああ!バイクの免許取って良かった!!友希がバイク免許持って無くて良かった!!
きっと僕のこんなアホな感動は友希には伝わらんやろうけど(笑)
夕方になって、暗くなる前に部屋に戻る。今日はごはんなんやろうね~??って話しながら上着を脱いで、友希を後ろから抱き締めた。
んふふ。楽しい~っっ。今回の隠れテーマは新婚旅行やねんっ!
「まだ食べ物のこと言うてるー」
「やって、昨日は懐石やったやろー?今日はなんやろー?」
ほんまは料理って変えられへんのやけど、女将さんと鈴木さんの厚意で毎日違う夕食を出してくれるらしい。友希のごはんが勿論一番やけど、ここのごはんはほんまに美味しい。
夕食までに一度お風呂入ろ?って言うたら、友希がうんって嬉しそうにうなずいた。
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