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この世界のこの瞬間 3
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「俺、帰ります」
「え、もう?」
「はい、課題やらないといけないので」
「そう、じゃあ仕方ないわね、今日はほんとにありがとう。鈴木が会議に出てるから友希君来た事伝えておくわね」
「はい、お願いします」
暫く撮影を眺めていたが、キラキラしてる女の子やあまりにもオーラを纏ってる悟を見ているうちに、なんだかやりきれない気持ちが抑えられなくなった。
それはもう満面の笑顔で、女の子たちをエスコートしてる悟。そして演技かホントか区別のつかない女性陣の悟に対する熱い視線。そらそうや、王子様的存在の設定なんやから。
でも、そんなわけわからん設定貼られてそれを難なくこなしてるあいつは何者なんだろう。
いつも家でだらだらとソファーに寝そべってお菓子を食べている悟とは180度違う人物のように見えた。
確かにカッコいい。この上なくカッコいい。でも、その悟一人にあんなに綺麗で可愛くて、いい匂いのする女の子達がまとわりついていれば、それはもう夢の世界だ。
「なんやろ、切ない」
橘さんに持ってきた袋を渡して、帰りは手ぶらになってしまった。空いてしまった両手を見つめてなんだかやるせなさに押しつぶされそうや。
最近悟は頗る忙しい。ここんところ何日も夜中に帰って来ては夕飯だけ食べてそのまま自分の部屋に帰る。を繰り返している。(それは自分がそうさせているのでもあるが)
いつもなら、帰りたくないと駄々を捏ねる悟もさすがに体力が追い付かないのか、素直に帰って行く。そして翌朝、朝食も取る暇なく仕事に向かっているようだ。
だからこそ、今自分に襲い掛かって来てる感情は、孤独、だ。そんなわけないと思っていても、自分には何もしてやれない孤独をひどく感じている。
「でも・・・なんだかんだで悟、女の子に囲まれて楽しそうやったな」
孤独と寂しさ。抱えているのはきっと自分だけだ。
女性の腰に絡まった悟の腕の長さが忘れられない。
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