アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
この世界のこの瞬間 6
-
「僕がどんだけ友希に片想いしてたか、知ってる?すんごい長い間、友希だけを好きやってんで?」
「うっ、ひくっ・・・」
「やっと、やーっと友希を僕の腕の中に掴まえたのに、そんな悲しいこと言わんで?」
俺を宥めるように発する悟の声はとても優しくて、俺は嗚咽が止まらんくなった。優しくされると却って苦しくなる。
額にもう一度キスをされて、力の抜けた身体を抱き寄せられた。嫌だと思っても悟の腕の力は思ったよりも強くてぎゅうと抱きしめられる。背中をとんとんと撫でられた。
「女の子とか関係ない。友希は誰よりも可愛いし、カッコいいし。僕の腕の中にすっぽり入ってくれるのもめっちゃ可愛いよ?誰かに勝つとかそんな次元やない。この世界で、この瞬間、僕の傍におって欲しいのは友希だけやねんで」
「ちが、」
「もーっ、ほんま、友希のヤキモチ可愛すぎるっっ」
「え、んっ」
唇を塞がれた。ちゅ、と唇を吸われてびっくりして目を閉じてしまった後にゆっくり目を開けると、キスをしたまま悟が笑ってた。
ぐいっと引っ張られて悟がベッドに横たわる。そして、ラッコみたいに仰向けになった悟に重なるようにして抱き締められた。
「ん、悟、」
「ほら、もっかい」
「や、」
「メリットなんていらない。たとえ僕にとって彼女らがなんらかのメリットを生む存在やったとしても、そんなんいらん。友希だけでいい」
「ふぇっ・・・」
真っすぐに見上げられたその瞳に吸い込まれるようやった。一瞬真剣な表情でそう告げてから、俺の後頭部に手を差し込んでもう一度口付けられる。
両手をぎゅうと握りしめて悟の胸の辺りに添えたまま、何度も何度もキスをした。舌を絡められて歯列をなぞられて、俺の心臓はバクバクと高鳴った。
腰に回されたもう片方の手のひらが熱い。触れられたところから溶けそう。
ちゅ、と音を立てて唇が離れるとぼろぼろと涙を零す俺の頬をぺろりと舐めた。
「それに、当たり前やん」
「え、なにが?」
「スタジオでカッコつけんのが僕の仕事。友希とおる時なんて、いつもへなちょこやろ?」
「・・・」
「カッコつけるのは誰に見られてもいいけど、へなちょこなんは、友希にしか見せないんやでー。やって僕、友希にめろめろなんやもん」
「・・・悟っ」
「ふはっ。やっと笑ってくれた」
なにそれなにそれ!なんでこんなカッコいいんっ!
俺は悟にこれ以上ない力で抱き着いた。あははと笑う悟はずっと、最初から笑ってた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
94 / 117