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この世界のこの瞬間 7
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「今日の友希は泣き虫やね」
「やって、やって・・・」
「そんな友希も大好きやけどね」
悟が、しがみ付いた俺の頭を撫でながら耳元で囁いた。ぞくりとした。悟の低い声が俺の脳みそを揺らす。ゆっくりと撫でてくれる手のひらの温かさに涙が止まらない。
女の子に勝てるなんて思ってなかった。ずっと、それはずっと思ってきた事で、もしも悟がいつの日か俺よりも、女の子を好きになることがあるとしたら、その時は俺は悟の気持ちを尊重しようって決めてた。
でも今日、スタジオで綺麗で可愛い女性に囲まれてる悟を見て「離れたくない」って思った。悟から別れの言葉を告げられた時のことを想像したら吐き気が止まらんかった。そんな自分の感情に腹が立って、いたたまれなくなって、帰ってきた悟にも当たり散らすような形で泣き喚いてしまった。
でも。
『友希だけでいい』
その言葉をもらって、自分がどんだけアホやったか分かった。そして
「悟、大好き」
「うん。僕も大好きやで」
「俺も、」
「うん?」
「悟だけでいい」
「友希」
「だから、」
今なら言える。自分に自信を持って言える。
「ずっと、一緒におってな」
「・・・もちろん!」
「悟、ほなら、」
身体を離して悟の瞳を見つめる。綺麗な澄んだ目をしてるっていつも思ってた。キラキラしたその瞳に俺はどのくらい映ってんのかなって思ってた。俺が危惧していたことは、そこに何もなかった。
「証明して。俺の事どれくらい好きか、身体で証明して」
体を起こして悟に重なるようにして胸板に手をついてそう告げた。
悟の喉がごくりと鳴ったのがわかった。
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