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恋愛ラプソディー 1
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んふふふ。あの日から油断すると顔の筋肉が緩んで仕方ない。そんなにやけ顔のまま仕事の合間に友希とlineしてると、鈴木さんが入ってきた。
「悟、次、移動」
「うん」
「メシはその後な」
「はーい」
「・・・・・」
「なに?」
返事をした僕に視線を投げて、じっと見る。なんやの、気持ち悪い。
「悟、なんかいいことあったか?」
「えっわかる!?」
「お前、わかりやすいからな。最近返事が素直すぎる」
「それがさー」
僕から言おうと思ってたんやけど鈴木さんから聞いてくれるなんて!
どちらにしても鈴木さんに言わないかんことやったし、ちょうどいいタイミングやし。
「あんな、僕、友希と一緒に住むことにしてん!」
「・・・は?」
「友希と同棲すんの」
「友希君と?」
「そ!こないだ、友希に言ってオッケー貰ったん」
ずっと泣いてる友希がうんうんって頷きながら僕に抱き着いてくれて、ああ、一生この人を守っていこうって心の底から思った。この人しかいらないって。
泣きつかれた友希もめちゃ可愛かったなぁ、なんて思い出してると、返事の無かった鈴木さんがやっと口を開いた。お祝いの言葉?そうやろ?おめでとうやろ?
「悟、それは、あかん」
「・・・え?」
「お前、自分がどういう立場かわかってるか?」
「立場?」
僕が想像していた返事とは真逆の言葉が返って来る。何が言いたいのか全くわかんなくてスマホを置いた。
なに?立場ってなに?あかんって、どうして?
「友希君は一般人、お前は芸能人。そして、男同士やぞ。お前はまだしも、友希君にどんだけ迷惑掛かると思ってるんや」
「迷惑・・・?なんで、迷惑なんてかけへんよ」
心臓がバクバクしてきた。なんか、真剣な表情の鈴木さんが怖い。いつも優しく怒ってくれる人やから、尚更意味深で、怖くなった。
ソファに寝そべってた俺の前に来て椅子を引っ張っていつも持ってる手帳をテーブルに置いた。かたんとコップが揺れて中の水が溢れた。
「お前の世界に、友希君を巻き込んだらあかん」
「・・・」
「お前が友希君のことを大事にしてこの先一緒におりたいと思うことはいい。ただ、それを面白おかしくしよう世間に書こうとする頭の悪い奴らは、残念ながらおる。線引きを無くしてしまうと餌食になりやすい。何も悪いことをしてないのに、被害者になってしまうのは友希君や」
「鈴木さん、なに、言うてんの」
「悟、俺は反対したいわけやない、お前たちを守りたい」
パクパクと動く鈴木さんの口を見て、僕は頭の中がぼーっとなって行くのがわかった。
さっきまでのふわふわした気持ちがまるで消えてしまって、今は口から心臓が飛び出しそうなくらい不安で包まれる。
「とりあえず、上坂にも相談や。俺の考えは今言うた通りやからな」
ほら、と肩を叩かれて帽子を被された。急に体がずんと重くなった気がした。
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