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あと4日
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「どうした、小多田。暗い顔して」
「あと5日後に死ぬぞって言われました」
「誰に」
「…ぶつかった見知らぬ人に」
そこで林さんが吹き出した。笑いごとじゃない。
「いやすまん。だがお前のこと知ってる俺でも、死にそうな顔してると思うぞ」
「ひどすぎ」
「いやすまん」
林さんも人が悪い。確かに不健康そうな顔をしているのは、自覚しているのだ。
「大丈夫。明日は大した任務じゃない。誰も死なないさ」
「どうかな」
「おいおい悪かったって、小多田」
表面上拗ねた俺も陽気な林さんは憎めない。基本的にはいい人なのだ、林さんは。
俺は黒武者(くろむしゃ、名前だ)小隊の隊員。林さんは副隊長だ。ここの小隊は出入りが激しい。みんなまともではないから。その中でも林さんはまともな方で面倒見がよい、いい人なので、年上嫌いの俺が珍しくなついていた。今日も林さんの部屋に来て酒を交わす仲だ。
「じゃ、俺寝ます」
「もう行くのか」
「おやすみなさい」
名残惜しそうな林さんが子供っぽく見えて少し笑った。部屋を去ろうとすると、ぐっと手首を掴まれた。
「?林さん…?」
「あ、…すまんな。小多田、今夜はここで寝ていかないか」
「酔ってますね」
「酔ってるなあ」
林さんは参ったと恥ずかしそうに笑った。しょうがない人だ。俺は今度こそ部屋を去った。
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