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〜another story〜
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〜another story〜
放課後、部活が終わった後、1階へと繋がる廊下を歩く。普段生活していれば使わない道。
誰もいない廊下を歩くのは少し気味が悪い。
とっとと、用事を済まして帰ろう。
その用事とはここを真っ直ぐ行けばある職員室。の中にいるまっちゃん。
授業に出すプリントを忘れてズルズルとここまで引っ張ってしまった訳だ。
まっちゃんを怒らすと怖いからなぁ。俺達男子でさえビビってしまうくらいだ。
ビビるなんてもんじゃないか。前に少し柄の悪い生徒らがいて、昼休みに体育館裏でタバコ吸っていたんだよ。そこで偶然まっちゃんと生徒会長さんがバッタリ偶然。
ブチ切れたまっちゃんは般若以上に怖かった。逃げようとした生徒は会長が笑顔で捕まえてたからなぁ。あそこら辺トップ締めてるよ、この学校の。
その後彼らは坊主頭となり大人しくなりました。
ちなみに噂で聞いたとかじゃなくて、その時俺は体育館でバスケしてました。
何が臭うなって思って窓開けたらバッタリ偶然。ちょうどあちらからは見えなかったみたいで。
そんなことを思い出しながら歩いていると職員室が見えてくる。
それとほぼ同時にありがとうございましたと職員室から出てくる生徒も見えてくる。
できればなるべく会いたくない人物。アキの恋人、つい最近までアキの悩みの中心人物薫さんがいた。
ため息が出そうになるのをぐっとこらえる。
「こんばんは」
「…どーも」
「丁度良かった。僕、話したいことがありまして。職員室に用事ですか?」
「あー、うん。まっ…松岡先生にね。今日中なんだ、プリントの提出」
君に用事はないんだけどねー。
「空汰先輩?」
「…薫くん。俺の名前知ってたんだ。もしかしてアキが?」
「アキ?」
「あ、わりぃ。晃が言ってたのか?」
「…えぇ。空汰先輩も晃先輩からでしょう」
ご名答。確信付いた言い方にフッと笑った。
「で、お礼と不満を言いたい訳?」
直球に聞けば驚いた様な顔をする。図星って訳だ。
「…先輩って馬鹿そうに見えて中々鋭いとこもってんなー」
「………」
「って、思ってるー?」
からかう様に言えば失笑を漏らす。…図星って訳だ。かなしっ。
「えぇ。まずは晃先輩に良いアドバイスをしてくれてありがとうございました」
「どーいたしまして。ほぼまっ…ほぼ松岡先生が背中押したようなモンだから。お礼ならそっちに」
「松岡先生が、ですか。わかりました」
「で、不満の方は何?どうせ晃絡みだろ」
「…本当に鋭いですね。では単刀直入に言います。必要以上に晃先輩に触らないで下さい。本音を言えば晃先輩には誰にも触らせなくないし、話さないで欲しいし、一緒に遊ぶなんてことしてほしくないんです。これ以上のことをするなら晃先輩のことを地下に監禁して鎖で手足封じて僕のことでいっぱいにして他のことなんか考えさせなくないんですよ。今の状態を保っているのは僕が100歩、いや100000歩以上も譲っているからです」
「………」
単刀直入じゃねぇ…。
今までの中で1番と言って良いほどの恐怖を感じてしまった。悪寒が背中を走った。
「あ、あー、うん。晃に言ってくれないか、それ」
「言うわけないじゃないですか。晃先輩の前では僕は優等生の良い子ちゃんなんですよ」
「………。なんかお前と晃って似てるよな」
「……はい?」
「自分の性格を恋人に隠してる所とか」
「喧嘩売っているなら買いますよ」
「別に悪いとは言ってねぇよ。それもある意味自分自身だし。ただこれからずっと一緒にいるならそれは本人が疲れるだけだって話で俺はお前とは赤の他人だし。第一おれには関係ないから止めろなんて言わねぇ」
「………」
「あっ、でも、晃は変わったろ?前よりも少しずつだけど意見を言えるようになった。お前からしたら前よりももっと可愛くてしょうがないんじゃないの」
「…はぁ、僕の負けです」
「なんの勝負だし」
理由はわかってる。でも気づかないフリをして小さく笑う。
「1つ教えといてやるよ。晃、もっと甘えて欲しいんだと、愛しの薫くんに」
「…僕は空汰先輩のこと嫌いです」
「はいはい。早く晃んとこ行ってきたら?」
「言われなくともそうします。ではさようなら。今日のことは晃先輩には内緒で」
「わーってるって。じゃーな」
「あ、先輩松岡先生にこれ渡して下さい。ちなみに先生の家は噴水のある公園の近くのマンションです」
「いや、職員室にいるだろ」
「……そうですね」
ノートに何が書いてその切れ端を受け取った。綺麗に四つ折りにされてから。
「見ても別に問題ないですよ」
そう言ってニコリと後輩は走って行き見えなくなった。
四つ折りにされた紙を広げる。
“お礼です。 薫”
「なんだこれ」
職員室を開ける。
「松岡先生いますかー」
「松岡先生?ならもう帰ったよー」
げっ!マジか。
───噴水のある公園の近くのマンション
…しょうがない。プリントも紙もあるし。家からはそう遠くない。
「しつれーしましたー」
帰ってから行こ。
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