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決意しました
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「言ったでしょ〜?9割知ってるって。後の1割ははづきちゃんの気持ちだしー?」
僕の考えを読み取ったみたいに言う。そんなに顔に出てたかのかな。
ワタルのその観察力がすごく欲しい。そしたら今辰季の気持ちとか陽介がどうしたいのかとかわかるのに…。
「付き合うん?」
急かしたようにワタルが言う。
「付き合わないよ」
伴うように僕は言った。
「付き合わないの?」
「うん。付き合わない」
「理由、聞いてもいい?」
僕は本当に幼馴染み運がつき過ぎている。陽介もワタルも僕が幼馴染みじゃなかったら、きっと関わりあっていないだろう。
「…陽介は優しいから。僕が甘えたら、そのままサラリと受け止める、どんなことでも。陽介の性格ぐらい僕でも読めるよ。何年一緒にいると思ってんだ」
「はづきちゃん…」
「僕にとって陽介は逃げ道になる。そんな最低な行為、大切な人にしたくないの」
我儘だって重々に承知。
「んもぅっ!葉月ちゃんってばっ!かぁわいーなぁ〜っ!!えらい、えらいっ」
「わぁっ!なにっ!?」
グリグリと頭を撫でてくる。痛いっ、イタイっ!禿げちゃうって!!
「ワ、ワタルっ!さ、最後まで聞いて!」
「ん〜?どした〜?」
「…今は、付き合わないの。僕がちゃんと自立して2人の隣に追いつけたら今度は僕から言うの。好きです、付き合って下さいって」
2人の背中はまだまだ遠い。背も、学力も、運動神経も、順応力も、社会性も、何もかもが追いついていない。
僕だって思ってる、ズルイって。だって陽介はこれからも僕のことを好きで居続けてくれる。何年一緒にいると思ってんの。そらくらい、僕でも読めるよ。
「じゃあ、それは追いつくための1歩なの?」
それとは辰季への最初で最後のメールのこと。
「……うん」
そっと送信する。ありがとう、僕の好きだった人。色んな感情をくれて。
送信したと同時にチャイムが鳴った。
「あっ、完全にサボっちゃったね〜。さぁてと、そろそろ戻ろっか。次は確か体育だよ。俺っちも松岡しゃんだけは怖いっからな〜」
ワタルは立ち上がって欠伸をしながら出口へと向かった。
僕はその遠い背中に宣言する。
「ワタルっ!僕、頑張るから!」
誰もが皆、頑張るのは当たり前。僕は人並み以上に努力して堂々もあの背中達に並ぶんだ。
「俺様を誰だと思ってんだ?そんくらい知ってるって」
振り返り微笑んだワタルにつられて僕も笑い、その背中を追いかけた。
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