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〜side story〜②
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────────…
「お、おつかれ、さま…。すごかった、ね」
全試合が終わり、監督方やコーチたちへの差し入れの片付けの最中に神無月くんに会った。
「ありがとう。見てくれてたんだ」
神無月くんの姿が見えた途端にほだかくんの言葉を思い出し、なんだか気まずくなってしまった。いや、気まずいのは自分だけなんだが。
お前、普段はそんな優しそうな顔してないの?とか周りの人たちとの接し方ってどんな感じなの?とか。
頭の中グルグル回って、神無月くんがそ、そうゆう目で見てきたのは半信半疑だったけど知ってた。
でも第3者から言われるのは、結構、くる…。
恋愛初心者にあーゆうこと言っちゃダメでしょ。
「西原くん?」
「えっ、あっ。……なに?」
「……。…重いでしょ?半分持つよ」
「やっ、いいよ。大丈夫。神無月くんは他に色々することがあるでしょ。俺にはこれぐらいしかないし」
「……まだ一緒にいたいんだ。…その口実」
スルッと片手で持っていた重たい方を何の違和感もなく奪っていく。
その途中、手が触れた。
いつもだったら、あ、ごめん。で済むのに。…ほだかくんのせいだ。
男女共に惚れてしまいそうな甘い声と甘い台詞、甘い行動に俺は言葉のままの動揺を神無月くんに見せてしまった。
ゴトンと鳴り響いたジュースのケース。
「にしはら、くん?」
ダメだ。
頭の中での警戒音がなる。
「かんな、づきく、ん…」
これは、ヤバ、い。
俺は神無月くんを見上げた。行き場のなかった目線をどうにかしたかったから。
で、も、
目線を合わせた方が辛かった。
こんなストーカーなんかに。なんでって。こんなストーカーなんかに、なんで、惹かれてしまっているのだろう。
自分はこんなにも惚れっぽい性格だったのか。
話しだしてから数週間しか経っていないのに、最底辺だった神無月くんへの好感度がどんどんと急速に上がっていく。
目線を合わせただけで、頭が真っ白になった。
「…西原くん、こっち」
グイッと引っ張られ、連れて行かれた場所は近くにあった放送室。ガチャリと鍵を閉められ抱き締められた。
「…!?か、神無月くん!?」
「…そんな顔で見ないで。俺の理性は脆いんだ」
そんな顔ってどんな顔だ。きっとすごい不細工な表情をしてるだろう。
気になりあたりを見回せば窓に映る自分たちが見えた。それに続いて自分の顔も見えた。
1日中外にいたせいかボロボロの髪と顔で、ほだかくんの言葉を思い出して真っ赤だし泣きそうな想像以上に最悪の顔だった。
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