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〜side story〜③
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「俺以外にそんな顔、見せちゃダメだよ?」
俺以外も他人も、誰にもこんなブス顔もう見せません。
だから、もう離して欲しい。窓に映った俺たちが見えるのは、俺だけだ。そんなものを見せられて俺の顔はさらに赤くなっている。
「西原くん?返事は?」
「わ、わかったから!わかったから離れてっ!」
「へ、ん、じ、は?」
「はい!」
「よし。ちゃんと聞いたからね」
抱き締められたまま、頭を撫でられる。
「〜〜〜っ…。は、離して…」
「やだ❤︎」
「離して…」
「やだ。……今西原くんの顔見たらエッチな事しちゃうもん」
「〜〜〜〜〜っっ!!!」
「だから、離さない」
理不尽だ。そんな屁理屈通るわけないだろ。ホントに今は勘弁して欲しい。
片付けの続きしなきゃとか、今すぐ離れる方法とか、神無月くんはサッカー部なんだから早く行かせなきゃとかグルグル回って結局いつもと同じで何も出来ないまま神無月の思うがままだ。
それが、悔しい。
「神無月くん。な、何でもするからはなして!!」
「そうゆう事は所構わず言う台詞じゃないよ。…俺みたいな奴になんてなおさら言うものじゃない」
ズルいと思った。どうして俺だけがこんなに振り回されないといけないんだって。
「キスしていい?って、頼んじゃうよ?」
そんな気持ちになるなんて、なんて恋ってものは不便なものなんだろう。
愛情っての?貰いすぎたら好きになってしまうんだろうか。溢れるほどに数週間毎日貰った愛情ってものは厄介だ。
「いいよ…」
朝日がずっと前に言ってたんだ。好き過ぎて辛いって。羨ましいと感じた。
そんなに好きを溢れさせられたらどんなに幸せになるのかなって。俺にはあり得なかったから。
でも、こんな気持ち。幸せすぎて辛い。
これが好きなのか、恋なのかなんてわからない。だけど神無月くんが俺以外の子が好きになったなんて言われたらきっと俺は…泣く。
そんな風に思えるってやっぱり俺は神無月くんに惹かれてるのかな。
「神無月くん?」
そっと目を閉じたのに、唇にくる感触はない。見れば神無月くんは驚いたような顔をしていた。
そこで俺は閃いた。
身長差がある分背伸びをしなければいけないことが悔しかった。そんな腹いせと共に神無月くんの唇に触れるだけのキスを。
「にし、はらく、ん…?」
「言っとくけど、誰にでもこんなことしないからな。
…それだけ俺は神無月くんに惹かれてんだ」
「…男前、過ぎでしょ……」
「…そろそろ戻んないと。………神無月くん、早く」
「……えっ?」
「………キス。……もう1回…。
今度は神無月くんから………」
神無月くんとのキスは甘かった。
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