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僕と正ちゃんは無事に進級して、3年生になった。
入学式が終わって新入生が入って来ると、学校の中が活気づいたように賑やかだ。
でも、新入生を迎える4月は正ちゃんの機嫌は凄く悪い。原因は、僕が呼び出される事が多くなるからだと、智くんは笑って言う。
正ちゃんはいちいち応じないでシカトしろって言うけど、出来た試しは無い...。
この時期、何処からとも無く、巫女都の事が1年生の間で話題になり、ワザワザ巫女都を見に3年生の教室棟に来た真新しい制服を着た者達を見て正太郎はまたこの時期が来たかとウンザリしていた。
と言うのも、1年の時は2、3年生が。2年の時は1年生がという感じで、入学以降、毎年同じ様に巫女都を見に来る在校生、新入生の群れが教室の窓を埋め尽くす。
「...またこれか。うっぜーなジロジロ見てんじゃねぇよ、巫女が穢れんだろ...。」
「...この野次馬も毎年の事だけど、コレ見たお前の不機嫌も毎年恒例だな。」
呆れる智にジト目を向け、巫女都を指差し卑猥な眼を向ける輩達を一瞥する。
...ほんと、うぜぇな。巫女ももっとツンとした態度取りゃ、いーんだよな。琥太郎にやるみたいによぉ。
「おい巫女、これからまた呼び出し増えるだろーけど、シカト出来ねぇなら全員兄貴にするのと同じ態度で接しろ。」
「 そ、そんなの無理だよ!だって、琥太ちゃんじゃないもん。ちゃんと断るから、大丈夫。」
あっそ。断る、断らないじゃねぇんだよなぁ...。
まぁ、巫女に言っても分かんねぇか。
笑顔の巫女を見て、はぁとため息を吐くと、先程より一層騒がしくなった廊下を見る。
猪突猛進よろしく、突進して来た野郎にギョッとして、咄嗟に巫女を後ろに隠すとそいつは俺にガバッと抱き付いた。
...止まれなかったんだな。馬鹿め!ざまあみろ!!
「やっと見つけたぁ~!佐倉先輩、会いたかったですぅ~!」
俺で合ってんのかよ...。
「...誰だおまえ。」
グイッと引き離してマジマジ顔を見るも、さっぱり分からん。
「 んん~っ!相変わらず、クールで格好いいですぅ~!」
萌える見知らぬ野郎にウンザリしてると、後ろで智が巫女に、「 あれってクールか?記憶力悪いだけじゃね?」などと言い巫女もそれに同意してる。
「 おめぇら全部聞こえてっからな!」
俺の言葉に巫女はへらっと曖昧に笑って、智に至っては、「 ほんとの事しか言ってねぇ。」と開き直ってる。
くそ野郎が。つか、マジで誰なんだ、こいつ?
正太郎に話し掛けてきた新入生は、小野寺駿【オノデラシュン】といい、巫女都よりも背が小さく、華奢と言うよりはもやしっこの様な細さに、明るい髪色で割りと派手な容姿だ。
同中だと言ったが、巫女都も智も記憶に無く、考え込んでいると駿が恥ずかしそうに言った。
「...イメチェンしたんです。髪形変えてコンタクトにしたんですけど、どうですか?」
「...どーも、こーもおめぇの元が分かんねぇよ。」
「 格好いい~っ!!」
...マジでうぜぇ。取り敢えず適当にあしらお。
横でピーチクパーチクうるさいちびの質問を、俺は全然きかずに答えてた。
「 佐倉先輩、今もやっぱり彼女いるんですか?」
「 あー、そうだな。」
「...やっぱりですか。でも、すぐに別れちゃうんですよね?」
「 あー、そうだな。」
「 へぇ、そうなんだぁ~。全っ然、知らなかったっ!!」
え?...なんだ?
急に膨れっ面でプイッと顔を背けた巫女。智は腹を抱えて笑ってるが、そっちはシカトだ。
「 ...巫女都さん?なんか、怒ってます...?」
「 知らない!」
...ダメだ。完全にご立腹だ。
慌てて機嫌を取るも、へそを曲げた巫女は、「知らない!」の一点張りだ。
「 おい、正太郎。」と智が呼び、喧嘩されたら面倒臭ぇと耳打ちで教えてくれた理由にギョッとした。
「 巫女っ、こいつの質問攻めがウザくって聞いて無かったんだってっ!機嫌直してくれよ、な?」
追い縋るも、巫女は俺の眼もみやがらねぇ。全てはこいつのせいだ。
「...おら、ちび。てめぇのせいで巫女怒らしちまったじゃねぇかっ!!」
胸ぐらを掴んで言う正ちゃんに僕は慌てた。
完全な八つ当たりだ。
「 わぁ~っ!怒ってないからっ!...もうっ、小野くんに当たるのやめてよね...。」
「.....小野寺です。」
...恥ずかしい。慌てたからって名前間違えちゃった。
ちょっと、紛らわしい名字だよね。
僕は正ちゃんを取り抑えたまま、小野寺くんにごめんね。と言うと、
「...佐倉先輩の付き合ってる人って、...桐谷先輩なんですか...?」
「 そうだけど。ちなみに、ぜってぇ、別れねぇから。」
僕を引き寄せて小野寺くんに即答してくれた正ちゃん。それが凄く嬉しくて、僕は正ちゃんを見上げてにっこり笑った。
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