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ゆきの風邪【ほのぼの】1
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少し熱が高い。
倒れるほどの高熱ではない。
瑞月にはメールを送った。
『我慢するな』と言った手前、黙っているのは不公平な気がして。
でも、動けないほどじゃないから、会社が終わってから来るように伝えていた。
夕方、18時。
さすがにお腹が空いてきた。
冷凍庫に入っている冷凍ごはんでおかゆでも作るか……。
冷凍庫からご飯を出す。
ピンポーン。
来客を知らせる音が鳴る。
瑞月か?
でも、まだ、終業時間を過ぎたばかり。
玄関に行き、扉の鍵を開けると、勢いよく扉が引かれた。
「ゆき、大丈夫?」
走ってきたのか、軽く息が弾んでいる。
まるで子犬が慌ててかけてきたかのようで、思わず、笑みが零れる。
「だいじょう……、ゲホッ、…コホっ」
「大丈夫じゃないじゃん」
少し眉間に皺を寄せ、俺を家の中に押し込んだ。
「仕事……は?」
「直帰した。すぐ側で打ち合わせしてたんだ」
瑞月は靴を脱ぎ捨てて、家の中へ入る。キッチンの方に目を向ける。
「おかゆ? 作るから、寝てて」
有無を言わさずに、俺を寝室に押しやると、瑞月はそのままキッチンへと姿を消した。
俺が嫉妬心から暴走したあの一件から、瑞月は敬語をやめた。
そして、遠慮がちだった雰囲気も少しずつ影を潜めていった。
少しずつ、心を開いてくれているようで、俺は嬉しかった。
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