アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
すべてはお前『立花さんへのお礼編13』 【ほのぼの】
-
「だからオレ、聞いたじゃん……」
呆れたような立花の声が俺の耳に届く。
瑞月はまだ、俺の腕の中でぐすぐすしていた。
俺は、ふぅっとため息を漏らす。
「立花がみぃにちょっかい出したから、頭が回らなかったんだよ」
泣いている瑞月の耳元に唇を寄せ、ごめんね、と呟いた。
瑞月はふるふると頭を振る。
「すべてはお前が悪い」
「そうだね、立花が悪いね」
俺と絢乃の言葉に、立花は、チッと舌打ちをする。
「……立花さんへのお礼、だったのに」
俺の胸の中で瑞月がぼそっと呟いた。
そう言えば……そうだった。
「瑞月だけだよ、オレの味方してくれるの」
立花は、はぁっとわざとらしい大きなため息を吐く。
「みぃの優しさに付け込まないで」
俺はキッと立花を睨みつけた。ふっと下から手が伸びて、俺の視界を遮る。
下に視線を向けると、瑞月が俺を見ていた。
「ゆき、睨んじゃダメ。ちゃんと、お礼しないと……」
そう言って、瑞月は俺から身体を離した。
「立花さん、ありがとうございました」
瑞月は正座して、ぺこりと頭を下げる。
立花の手が瑞月の頭をくしゃっと撫ぜた。
「もう、逃がすなよ」
立花は、口の端を上げて、にやりと笑う。
「はいっ」
瑞月は真っ赤な目のままで、にこりと立花に微笑んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
51 / 86