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テル像くんにて待ち合わせ『ゆきの誕生日編1』 【ほのぼの】
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「瑞月、明日の土曜日、時間あるか?」
立花さんが、自席で帰り支度をする僕に声を掛けた。
僕は、きょとんとした瞳を立花さんに向ける。
視線の先に捉えた立花さんの顔は、いつも僕に悪戯を仕掛ける時の、あの表情を浮かべている。
「空いて……ますけど?」
少し、怪訝な声になる。立花さんはそんな僕の挙動に、くすっと笑いを漏らす。
「そんな警戒すんなよ。なんもしねぇよ」
そう言って、僕の額を指先でコツンっと小突く。
「ぃって」
小突いてるじゃないですかっ!
僕が少し、恨めしそうな目で見ると、立花さんは、くすっと笑った。腰を折り、顔を覗き込みながら、僕に問う。
「空いてんの? 空いてないの?」
僕は少し顔を引きながら、小突かれた額を押さえ口を開く。
「空いて…ます」
「そっ。じゃぁ、駅前のテル像くんの前に13時、待ち合わせな。以上っ」
よろしくなぁ、とひらひらと手を振って、立花さんは悠々と帰って行った。
僕は、しばし、立花さんの後ろ姿をきょとんを見つめていた。
『テル像くん』は、言わば、デートの待ち合わせの代名詞的なオブジェ。
13時にテル像くんの前? 待ち合わせ? えっ?
はっとしたように口を開く。
「えっ? 待ち合わせって何ですか?!」
僕の声は立花さんの背中を追いかけたが、立花さんの元には届かなかった模様です……。
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