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立花夫婦にはかなわない『ゆきの誕生日編4』 【ほのぼの】
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近くのコーヒーショップに入り、コーヒーの入った紙のカップを傾ける。
絢乃さんは僕の前でケラケラと笑い転げていた。
話によると、先日、僕らの家に来たときに、幸也に嫌な思いをさせたので、なにかお詫びをしようと考え、幸也の誕生日が明日だと思い出したらしい。
「てかさ、なくない? 恋人の誕生日知らないとか…」
ゲラゲラと笑う絢乃さんに、僕は真っ赤な顔で視線を向ける。
「まぁね、もういい年だし…誕生日云々も、もういいかなぁって思うこともあるけど……」
絢乃さんは、何とか笑いを堪えようとするも、ぷふっと口の端から声を漏らす。
「もう、いいじゃないですか……」
僕の口からは、はぁっと軽いため息が漏れる。
「ごめん、ごめん。今日、本当は3人でって思ってたんだけど、立花、なんか呼ばれてドタキャンなんだよね、ごめんね」
まぁ、私は瑞月くんとデートみたいで楽しいけど、と絢乃さんは、にこりと笑む。
「デートじゃないですよ。僕は、仕事のつもりでしたから」
少しふくれっ面で絢乃さんを見やる。絢乃さんはそんな僕の反応も面白いらしく、くすくすと笑う。
「知ってるよ。瑞月くんが狭山にしか興味ないことぐらい。私だって、瑞月くんは対象外ですから。ご心配なく」
そう言って、絢乃さんはにやっと笑った。
どうも、この夫婦にはしてやられてる感が否めない……。
「さてと。買い物行きますか…」
絢乃さんは、おもむろに腰を上げる。僕は、残っているコーヒーをぐいっと飲み干し、絢乃さんに続いた。
駅に併設されている大きなショッピングモール。
僕たちは、その中の雑貨屋に足を踏み入れる。
絢乃さんは楽しそうにいろいろな商品を手に取り、物色する。
一方僕は、急に明日が幸也の誕生日だと知らされ、頭の中が混乱していた。
幸也はなにが欲しいんだろう…。
何をプレゼントしたら喜んでくれるかな?
あまり物欲を見せない幸也へのプレゼント。僕は本当に困り果てていた。
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