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嘘つき『ゆきの誕生日編6』 【真面目】
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仕事がひと段落して、帰路に着いた。
瑞月も仕事。たぶんまだ帰ってはいないだろうと思い、駅前の本屋に足を向けた。
見てはいけないものを……見た。
楽しそうに女性と歩く瑞月の後ろ姿。
見間違う筈は、ない。
俺が、最愛の瑞月を見間違う、訳がない……。
でも……違うかも、しれない。
ほんの少しの希望を持って、俺はふらふらと彼らの後を追う。
仕事、じゃなかったのか?
どう見ても、プライベート、だよな?
彼らはゆっくりと紳士服売り場へと入って行った。
ネクタイがずらりと並ぶ場所で、背を向けたまま、足を止める。
女が1本のネクタイを手に取り、男に声を掛けた。
男が身体を少し、女の方へと回転させる……、その横顔は、やはり、瑞月、だった……。
瑞月の顔は、はにかむような笑顔を浮かべ、頬が染まっていた。
そして、瑞月の方へと身体を向けたのは、絢乃……?
微妙な角度で絢乃かどうかの判断がつかなかった。
楽しそうに笑い合う2人。
俺は目の前の光景が理解できなかった。
持って帰りたいと言い、瑞月を抱きしめていた絢乃が脳を掠める。
絢乃が瑞月を気に入っているのは、一目瞭然だった。
瑞月は?……瑞月は、嘘をついた。
絢乃と出かけるだけなら、俺に嘘をつく必要は、なかったはず。
なんで、瑞月は嘘をついた?
瑞月……お前、絢乃が好きなのか?
俺のこと、好きだったんじゃないのか……?
隣に居るのは、絢乃じゃないのか?
色々な疑問が頭の中を駆け巡る。
そして、根本的な疑問が頭に浮上する。
瑞月……君は本当は女性が好き、なのか?
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