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嫉妬はできても『バレンタイン編2』 【ほのぼの】
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ぱこんっ――。
瞳を上げると、立花さんが、僕を見下ろす。手には、僕の頭に降り下ろされたであろう書類を丸めた紙。
立花さんは手に持った紙を、逆の掌に打ち付け、ぱんぱんっと音を立てた。
「仕事しろ」
ぱんっと、丸めた紙でディスプレイを叩かれ、視線をパソコンに戻す。そこには『ああああああああああああああ』と僕の心の叫びのような文字列。僕は、慌てて、その文字を消しにかかる。
立花さんは、僕の隣の席の椅子を引くと、どかっと座った。
「また、ケンカでもしたのか?」
くすっと笑いながら、楽しそうに僕を覗き込む。
「してないですよっ」
僕は少し、不服気に言葉を放つ。
「瑞月がうわの空になるときは決まってアイツのコトだろ?」
くすりと笑った立花さんは、何かを思案するように瞳を左上に向ける。
はっと何かを思いついたかのように口を開いた。
「浮気でもされたか?」
手に持っている紙で僕を指す。僕は、キッと立花さんを睨み付けた。
立花さんは可笑しそうに、くすくすと笑う。椅子から立ち上がると、僕の頭を、ぽんぽんっと叩いた。
「しない、しない。アイツは浮気なんて出来ねぇよ」
嫉妬はしても浮気はしねぇわっと笑いながら立花さんは、給湯室へと足を向けた。
わかってるよ。幸也が浮気なんてするはずないって。
でも、なんか…あの本命チョコに、負けた気がするんだ。
僕はこんなに幸也のコトを愛しているのに、好きの気持ちで負けた気が、したんだ……。
……なに考えてたっけ。そうそう、材料の調達。
あ、そうだ! 立花さんにお願いして、絢乃さんに買い物に付き合ってもらえばいいんだ。
僕は、給湯室へと消えた立花さんを追いかけ、絢乃さんへの伝言を託した。
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