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絢乃さんの提案『バレンタイン編4』 【ほのぼの】
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小さな雑貨屋へ入った。バレンタインの特設コーナーへと足を向ける。
「作ったこと、ある?」
絢乃さんの問いに僕は、ふるふると頭を振るった。
製菓用の板チョコを物色しながら、絢乃さんは質問を繋げた。
「今日、これからなんか用事ある?」
「ないです。幸也も出張で居ないし……」
幸也の居ないうちに作って、サプライズで渡したい……。
「そう。じゃ、今日このまま私の家に行って、作っちゃおうか?」
ふふっと笑いながらの絢乃さんの誘い。僕は、にこりと笑んで、了承した。
板チョコのミルクとホワイト、白と茶色のココアパウダーと生クリーム。それと、小さな白い紙の箱にラッピング用のオレンジのリボンを買って絢乃さんの家へと足を踏み入れる。
10畳ぐらいのリビング。大きなテレビの前に灰色の3人掛けの布製のソファー、木製のカラーボックスが壁に面して据え置かれていた。右側は対面キッチンになっている。
ソファーに寝転がる立花さんの姿が目に入った。
「お邪魔……します」
ジャージ姿でくつろぐ立花さんに申し訳程度に声をかける。
声に気付いた立花さんは、驚いたような表情で僕を見る。身体を起こし、座り直す。
「なんで瑞月来てんの?」
「料理実習」
そう言って、絢乃さんは、くすくすと笑う。そのままキッチンへと足を進め、僕を手招く。
ブー……ブー……
ソファーの横を通り抜けようとした時、僕のスマホが鳴った。
立花さんが横から、僕の取り出したスマホを覗き見る。
画面を確認すると、幸也からだった。
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