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幸也との電話『バレンタイン編5』 【ほのぼの】
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「はい」
電話に出た僕に、立花さんは、にやっと笑い、スマホに耳を近づけてくる。
『みぃ? 買い物、終わりましたか?』
僕は近づく立花さんから逃げる様に身体を捩りながら、返答する。
「あ、うん。終わったよ」
僕の声に異変を感じた幸也は、不審げな声を出す。
『……どこに居るんですか?』
「オレん家」
僕が答えるより先に立花さんが横から声を発する。眉根を寄せ、立花さんを見やると、くすっと笑う。
『絢乃と買い物に行ったんじゃないんですか?』
少し、詰め寄る様な幸也の声色。
「そうだよ。『絢乃さん』と買い物に行って、『絢乃さん』の家にお邪魔してるの……」
絢乃さん、を強調して話す。
『そうですか』
納得をしたのか、していないのか微妙な音程で、幸也は呟いた。
『立花に代わってもらえますか?』
「あ、…うん……」
僕は渋々、立花さんへスマホを差し出した。
もう少し声を聴いていたかった、な…。
立花さんは、オレ? と自分を指さし、瞳で問いかける。僕は頷き、スマホを立花さんへと渡す。
「何だよ。別になんのちょっかいも出してねぇよ……?」
立花さんは、面倒臭そうに言う。僕はスマホに耳を近づける。幸也の声が漏れ聞こえる。
『本当に、みぃに何かしたら、許しませんよ?』
フラットに話す幸也の声。笑顔で青筋を立てている幸也の顔が思い浮かぶ。
『なんで、立花の家になんて…』
吐き捨てるように呟いた幸也の言葉が届く。
「料理…んっ」
僕は慌てて立花さんの口を手で塞ぐ。立花さんは僕に視線を向け、瞳に疑問符を浮かべた。空いている手の人差し指を立て、口の前に持ってくる。
『料理?』
不審げな幸也の声。
サプライズで送りたいのに、ここで立花さんにバラされたくはない。
僕の動作の意味を理解したようで、立花さんは目だけでにやりと笑った。立花さんの口を塞ぐ手を離す。
立花さんは、くすりと笑い言葉を繋いだ。
「料理するのが面倒だから飯、食いに来たんだって」
僕はふぅっと安堵の息を漏らした。
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