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ろくでなし 6
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1ヶ月ぐらい前に、たまたまカフェで男の人と居る時生さんを見かけた。
その翌日、時生さんを見かけたよ、と会話のひとつとして話しかけたんだ。
すると、時生さんは、あっけらかんと。
「あぁ、あれ恋人」
と言い放った。
その時のショックといったら。
恋人がいるから、俺は振り向いてもらえないの?って。
恋人がいるなら、どうしてそれを教えてくれなかったの?って。
恋人がいるのに、俺とセックスしたの?って。
喉元まで出かけた言葉を飲み込んで、その日は帰るね…と時生さんの家を飛び出した。
半ば放心しながら向かったのは衛のとこで。
衛からはそりゃもう毒という毒をいっぱい浴びせられた。
ちゃんとそのあと慰めてはくれたけど。
それからというもの、時生さんに対する衛の評価は地の底をついた。
まぁ、最初から高くはなかったけどね。
「嘘ばっかで働いてるそぶりもなくて。
ドタキャンは当たり前、恋人の存在は隠されてた」
衛が時生さんについて並べたてる。
「やめなよ、そんな男」
何度言われたか、もう数えきれないその台詞。
「……無理。好きだから」
そして何度言ったか分からない、この返事。
衛は深いため息をついて、俺のほっぺたをぎゅうっとつねった。
「いひゃいよ」
「このバカ」
「うん…」
ぱっと手を離した衛は、またため息をこぼす。
「なんでそんな男に引っかかったのかなぁ。もったいない。
遙ならもーっといい男見つかるのに」
衛に言わせると、俺は随分とモテる容姿をしているらしい。
らしい、と曖昧なのは俺自身あんまりピンとこないからだ。
別に今までモテた記憶はないんだけどな。
だけど衛に言わせると、顔がエロいとのこと。
大きめの目、奥二重というところがポイントらしい。
生まれつき色素が薄く、光の加減によって飴色に見える瞳が魅力だとか。
厚めの唇に、右下にあるほくろがセクシーだとか。
うん、自分じゃそんなことはまったく意識したことはない。
衛の方が、俺の何倍も魅力的だと思うし。
そう言うと衛は、自分と遥とじゃ種類が違うしね、と言った。
うーん、よく分かんない。
綺麗な顔をぐいっと乗り出して、衛が俺の目を見てくる。
「乗り換える気になったら、いつでも言うんだよ?
すぐ紹介するから」
そう真剣に言う衛に、俺はただ苦笑いを返した。
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