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期待 2
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そんな鬱々した毎日を過ごしている間に一週間が過ぎ、いよいよ明日からはゴールデンウイークに突入。
この一週間の間に、まだ電話出来ずにいた俺を、衛の毒舌が襲った。
やることやっといて今更恋人に遠慮とかうっとうしいとか、ため息ばっかで女々しすぎるとか、ええっと他になんだっけ。
「うじうじしてないでさっさと電話しろこのバカ、かぁ」
今まで猪突猛進でやってきたんだから今更怖がるな、だったかな。
帰りの電車に揺られながら、衛なりの励ましの言葉を反芻する。
駅について電車から降りた俺はポケットから携帯を取り出して、時生さんの番号を呼び出した。
「……よしっ」
通話ボタンを押して、耳に当てる。
一回、二回、三回……どきどきしながら無意識にコール音を数えていると、七回目が終わる頃に、時生さんの声が耳に届いた。
『なんだ』
「……っ、」
思っていたより緊張していた俺は、言葉につまってしまった。
『おい』
「…あ、時生さ…あの、」
しっかりしろ、俺!
「あの、今から、会いに行っても、いい…?」
若干テンパりながらも、そう言葉にする。
だけど、時生さんは黙ったままで。
無理、なのかな。
そんな俺の思考と被るように、時生さんから返ってきた一言。
『今日は無理』
……やっぱり。
ええい、めげるな!
「あの、だったら明日は?…明日、行っていい?」
勇気を振り絞って、そう聞いてみる。
……ダメって言われる?
やっぱり、恋人と、旅行…とか?
無理だって言われることを想定して、キュッと胸が痛む。
でも、時生さんから返ってきた言葉は。
『勝手にしろ』
…え?
今、今勝手にしろって言った?
「じゃあ明日!…朝から行くからっ」
『あんまり早く来すぎんな』
「う、うんっ」
電話が切れたあともしばらくぎゅっと携帯を手に握ってた俺。
やった!
明日会える!
鬱々としてた気分はどこへやら、嬉しさで浮上した俺は、鼻歌でも歌いそうな気分で駅の改札をくぐった。
久しぶりに会える喜びで夜なかなか寝付けなくて。
幼稚園児か、と自分でも突っ込むほどだ。
……だけど。
恋人に対して悪いことをしてるということに、罪悪感。
でも……。
ズルい俺は、そんな負の感情に、蓋をした。
ごめんなさい。
俺は、どうしても、時生さんのことが好きなんです、と。
″好き″を免罪符にして。
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