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期待 12
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「あぁっ、ん、は……、」
奥にあるシコリを引っ掻いた指が、ズルリと抜けていく。
膝で立ち上がった時生さんが浴衣を脱ぎ横へ放った。
ーーあぁ、うしろ、向かなくちゃ。
少し意識が飛ぶ中、正面からは絶対抱かないことを思い出し、反対側へ向こうと体に力を入れる。
だけど。
「…え…?、あ…」
広げられたままの足の間に入り込んできた時生さんは、その体勢のままーー後ろに自分のモノを、あてがった。
ーーーなんで、どうして。
目の前にある存在だけに集中する、そう決めたはずだったけど。
まさかの出来事に、頭が冷静になる。だけどそれは一瞬のことで。
「ーーあぁぁっ、んっ、」
一気に突き入れられたモノをナカで感じた瞬間に、冷静な頭はどこかへ飛んでしまった。
律動する体、その度に擦られる内側から痺れるような快感が体を駆け上がる。
視界いっぱいに広がる、時生さんの体。
わずかに視線を上げれば、そこにある時生さんの顔。
その顔は歪められていて。
感じてくれていることが、手に取るように分かった。
そして瞳はまるで愛しいものを見るように優しげで。
ドクン、と心臓が高鳴る。
錯覚してしまいそうだ。
この人の恋人は自分だって。
この人の一番は自分だって。
ーーー期待、してしまいそうだ。
俺が、ずっと望んでいたこと。
一番、望んでいたこと。
正面から、顔を見ながら、抱いて欲しい。そして。
ーーー言葉が、欲しい。
今なら、言ってくれるかもしれない。
今日の、時生さんなら。
「んっ、あ、時生さっ…」
俺は、その望みを、口にした。
「…好きって、言って…」
合わさる体から、時生さんが強張ったのを感じた。
だけどそれを無視して、続ける。
「…嘘でもいいから…好きって、言って…」
自分の口から漏れたその言葉は懇願めいた響きを持っていて。
時生さんの瞳が一瞬、迷うように、そして不安げに揺れた気がした。
動きを止めて、じっと俺を見下ろす時生さん。
そして、口を開いた。
「……遥」
瞬間、体が震える。
今初めて、名前を呼ばれた。
渦巻くこの感情を、どう表したらいいんだろう。言葉にならない。言葉にできない。
整理しきれない感情が、涙となって表れる。
頬を包み込むように触れてきた時生さんの手。親指がその涙を優しく拭って、そして。
「…遥。…愛してる」
その言葉に、目を見開く。
俺を見下ろすその瞳は真剣さを有していて。
欲したもの以上の言葉が返ってきたことに、ますます涙が溢れてきた。
「ふっ、あっ……んんっ、あぁっ」
再び動き出した時生さんにしがみつき、与えられる快感を追う。
「ふぁっ、あ、と、きお…さっ、すきっ…んっ」
いつものように、その言葉を告げながら。
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