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ずっとこのままでは、いられない
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「そうは言っても、勝平も、ずっとその姿ではいられないから」
「え、そんなの嫌だ。ずっと克樹君に、可愛いって言われたい」
「勝平が大人の男になれば、自然とそう思わなくなると思うよ」
「いやだよ。ずっと克樹君を好きでいたいもん。そんな、克樹君みたいなこと言わないで」
僕は泣きそうになりました。半泣きでした。いや、もう、涙がつつーとほほを流れました。
「いやだ、いやだ、そんなのいやだよ」
「勝平」
「僕は、ずっと克樹君といっしょだもん。ずっと好きで、僕はずっと変わらなくて、ずっと可愛いって言ってもらえて、可愛いがってもらえて」
僕は、ひっくひっくなってきました。
「つらいかもしれないけど、勝平は、ずっとその姿じゃないんだよ。変わっていくんだよ」
「いやだよ、ずっとこの僕がいい、大人の僕にならなくていい」
僕は悲しくて胸がつぶれそうでした。
「この僕と別れたくない」
「中身は変わらないよ」
「中身だって変わっちゃうんだ、だって、克樹君のこと好きでなくなるんでしょ? そんなの僕じゃない、この僕が、今の僕が死んじゃうんだ。そんなのいやだ」
僕は、涙がとまりませんでした。
「勝平、せっかく、勝平のために、いい肉買ってきたんだから、食べよう」
「いやだ、肉食べたら、成長しちゃうもん。大人の男になっちゃうからいやだ。筋肉もりもりになっちゃって、声も変わって、ひげも出て、背ものびて、可愛くなくなっちゃうもん。女の子みたいじゃなくなっちゃうからいやだ」
「大丈夫だよ。勝平は、そこまで男っぽくならないと思うよ? 身体だけじゃなくて、食べないと脳に栄養がいかなくて、楽しい気持ちも減っちゃうよ。元気がなくなっちゃったら、大好きな克樹君とも、会えなくなっちゃうから、食べな」
「脳に栄養がいかなくなると、おバカになっちゃう?」
「そうだよ」
僕は、おバカになって、俊也先生にがっかりされたくないと思いました。そして、俊也先生は、大人だけど、可愛いことを思い出しました。
「大人の男でも可愛い人いるよね?」
「うん、子どもの可愛いさとは違うけどね」
僕は、今は、あんまり大人になることを考えたくないと思いました。
「大人の僕とか、想像したくないな」
「脳が子どもだからそう思うんだよ。ちゃんと食べると脳も大人になるから、そんな風に思わなくなるよ」
「悲しくなくなる?」
「うん、悲しくなくなるよ」
僕は、泣きやんで、お肉とご飯と野菜を食べました。でも、まだ少し悲しかったです。でも、少し悲しいのは、おさまりました。
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