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アイ マイ passion
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冷静沈着。
品行方正。
優良物件。
そんなアイツの意外な素顔を見た。
というか
オレが無理矢理暴いた、って方が正しいのか?
中川が居酒屋を飛び出した後
「酒の上の事だ。俺らも忘れるから、お前も深く考えんなよ。じゃあな、お疲れ!」
飲み会幹事の広瀬は、そう言ったけど。
人のキモチなんてもんは、そんなに簡単じゃあない。
あんなに苦しそうに
自分をオカシイと否定しながらも、オレを愛してると力強く言い切った中川は、ウッカリ惚れてしまいそうな位、オトコマエだった。
同性なんて有り得ない。
そんなオレですら、一瞬、熱くココロを揺さぶられた。
中川は生真面目な男だ。
常識やチームの和を重んじて、常にそれを基準に行動するヤツなのに。
そんな自分の信条に反した愛を感じてるだなんて、そりゃあ、苦しいだろうなぁ。
それも、アイツとは真逆なオレが相手だってんだから、尚更だろう。
非常に気の毒だ。
だがしかし。
ノンケのオレにはどうしてやることも出来無い。それに、こういうところで同情するのは、逆に失礼だろう?
…許せ、中川。
まぁ、そんな気持ちで、あの事には敢えて一切触れず、なるべく普通に接していた。
むこうも普通に見えたし、コッチもそのつもりだった。
けれど。やっぱりちょっと、落ち着かない。
アイツが何となく、違う気がする。
最初にそう感じたのは、何でだった?
忘れる位の微かな違和感が、少しずつ溜まって、オレの中が、言い知れない不快感で、モヤモヤし始めた。
ある飲み会で、黙って立ち上がった背中をウッカリ追い掛けてしまった。
「小便なら、先に行け」
「ん!?…あー、そうだよな」
アイツからしたら、オレに後から入られるのは、嫌なのかもしれない。
素直に1個しかないドアの中に入って、考えた。
元々ベタベタする間柄じゃない。
だけど、どことなく、よそよそしいし、殆んど目が合わない。
それが、何となく、寂しい。
いやいや。色々ユルくて、空気が読めないオレの事だ。引き過ぎだと思う位の距離で、傷付けないように、静かに見守っている位でちょうどいいんだ。
…ええっ!?ちょっと待てオレ!今、何て考えた!?
傷付けないように、静かに見守る?
何様のつもりだ!?
てゆーか。見守るだなんて、ガラじゃない。
知らない間に、こんな無理してたのか、オレ!?
トントンッ
「河原…?」
おっと。中川だ。
「あー、悪い。すぐ出るわ」
「…大丈夫か?」
…きたぞ。久々の世話焼きモード。なんか異常に懐かしいな。
「ああ、スッキリした」
「取り敢えず、早く出てこい」
「うぃっ!」
「っ…変な声だな」
あ。笑った!!
よし、早く出よう♪
「お待たせ」
イソイソと出たオレを迎えたのは、不機嫌さを隠しもしない仏頂面だったが、そんなのは毎朝の挨拶みたいなもんだ。
「待ってない。…手、洗ったのか?」
「いいや」
「貸してやるから、洗ってこい」
ポンとハンカチが渡された。
手を洗ったはずが、何となく顔まで水が跳ねた気がして、ハンカチを頬に当てた。
ん?
「…イイニオイすんのな」
「嗅ぐなっ!!」
電光石火。ハンカチはオレの手の中から、奪い去られた。
「え?こういうのってさ、洗って返すもんじゃないのか?ちょっと濡れてるし。気持ち悪くない?」
「お前の方こそ…気持ち悪くないのか?」
「は?…何のこと?」
視線を上げたオレと目が合いそうになったのを避けたのか、サッと中川が俯いた。
「だってさ。中川は中川じゃん!?その…あのシュミはどうかと思うけどさ。他は大体信用してるよ?」
「…俺は、おれ?」
ポカンとした中川が、オレを見た。
「うん。だからさ、気持ち悪いとか、そーゆーの、全く無いわ。逆にそんな反応されたら、気になるし。寂しいっつうの」
「さびしい…?」
「4年だっけ?ずっと一緒に働いてたじゃん?なんか最近スースーするのって、季節のせいじゃない気がすんだよなー」
「酔っ払いの分際が。俺にそんな出任せ言って、タダで済むと思うなよ!?」
色んな感情が入り交じったような色の目が、鋭く光った。
…わ、ヤバい。妙にゾクゾクしてきたかも。
「上等じゃん。絶対ゴメンナサイって言うまで止めてやらないからな」
「なっ!何…ンムッ」
こういう時は、先手必勝。
オレは噛み付くように中川の唇を奪って、その背中を壁に押し付けた。
同じ高さの腰に腕を回し、膝の間に脚を入れる。
「く、……んっ、…くぅっ」
中川が洩らす子犬の泣くような声を聞いて、熱い咥内を貪ることを止められなくなったオレなのだった。
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