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38、 約束
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「なんでピアスしたいなんて思ったんだ?」
恭は俯いてもごもごしている。
「・・・圭ちゃんと、お揃い、したい」
恭が希望をポツポツと口にしていく。
「でも、こんな事で病院行くの嫌で、圭ちゃんなら他の方法知ってるかなって思ってさ」
思わず溜息が漏れる。
「俺とお揃いがいいって言っても、ピアスじゃなくても」
恭はふるふると首を振る。
「圭ちゃんのピアス、カッコいい。ボク、圭ちゃんと同じじゃなくてもいい」
「はぁ?お揃いがいいんじゃないの?」
キョトンとして、
「ボクとお揃いなのが嫌なんじゃないの?」
「んなこたぁねぇよ。ただ出来ればお前が痛い思いしてまでって思ったんだ」
「痛いのは大丈夫。イジメられて殴られてた時の方がきっと痛かったと思ってるから」
俺は恭を自分の方に向き直して座らせてぎゅっと抱き締める。
「守れなくてごめんな」
恭は抱きしめ返してくれて。
「助けようとしてくれたじゃん。だからいいの」
ふう、と息を吐くと、
「明日、土曜じゃん。ピアス買いに行こうぜ?」
その途端恭がきらきらした表情で俺を見る。
「約束だよっ」
「ああ、約束」
こうして俺は恭との『明日』を手に入れた。
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