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蓮の目を真っ直ぐ見つめてそう言った。
彼にちゃんと届くように、彼を安心させてあげれるように。
だけど蓮は言葉を詰まらせ、苦しそうに顔を歪める。
今更届かないのかな?もう遅いのかな?
「嘘つき…っ…」
「本当だよ。」
「これ以上何も聞きたくないっ!抱くならさっさと抱けよ…!」
僕に組み敷かれた下で彼は、凄く苦しそうにそう吐き捨てる。
僕の言葉はどうしていつもちゃんと伝わらないんだろう?
耳がダメなら目で。
目もダメなら身体で。
僕は何度でも蓮に伝えよう。
今度は僕が、臆病な彼を待つ番だ。
「やっぱ抱かない。」
「…………?」
「その代わり少しだけ一緒に寝よ?ほら、昔みたいにさ」
「昔って……ほんの半年くらい前だろ…?」
「いいんだよ、昔で。」
戻れない日々。戻らない関係。
この感情に気付いたが最後。僕は止め方を知らない。
「蓮、ずっと一緒にいよう?お前が僕の気持ちを信じてくれるまで気長に待ってるから」
「本気…か?」
「うん。本気。多分これが…恋だと思うから」
指の背で蓮の頬を撫でれば僕の心臓はもっと速く、大きく脈打つ。
花妓同士の恋。
この延長線で幸せになった者は一人もいない。それを僕は知っている。見てたから。
だけど蓮はそれを知らない。
僕がその人の末路を目の当たりにした時、その頃の僕はまだ契妓だったから。
────そして"あの人"は囚われた。
「僕達は許されない事をしてる。でももう後には退けない。だから蓮、もし"その時"が来たら
一緒に死のうね」
それが花妓にとって一番の幸せだとあの人は教えてくれた。
それが最後の教え。最後の笑顔。
笑いかけた僕に息を詰めた蓮は何て答えるんだろう?
だけど僕の次の返事はもう決まってる。
──大丈夫。怖くないよ。僕も一緒だから…。
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