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「う~ん……誰だったか……、あ!ムスクの香水を着けてた奴だ!なんか変な喋り方の、名前は何だったか…」
ムスク。それを聞いた瞬間、僕は血の気が引いて体が冷たくなるのを感じた。
あいつだ……。あいつしかいない…!
「っ──!!」
「──ッおい!?どこ行くんだよ雅!?」
廊下と廊下を繋ぐ橋を渡って一番奥にある角部屋。
そこがあいつの────八千代の部屋だ。
「────八千代!!」
「ひっ──!?」
「──!?雅…?」
僕が勢い良く襖を開け放つと彼は睦言の真っ最中で、お客の上に跨がり繋がっている状態だった。
だけどそんな事は関係ない。
僕は慌てふためくお客をよそに八千代に詰め寄った。
「見て分かんねー?俺、今イイとこなんだけどー?」
「質問に答えたら出てってやるよ。お前、さっき蓮と何を話してた?」
「蓮ー?……あぁ」
八千代はニヤリと笑みを浮かべて再び腰を揺らし始め、そのたびに長く波打つ髪から漂う強いムスクの香りが鼻に付き、僕に不快感を与える。
「光が…ッ、あんまり帰ってこなかったからさー、"戻ってきたら躾ないと"って…、言っただけだよ…っあ」
「っ!ふざけるな…!そんな事言ったら蓮は本気にするだろ!?」
「雅!もう止めろ!」
八千代を掴もうとした手が追ってきた篠によって阻まれ、僕は歯を食いしばった。
────悔しい。こんな奴のせいで蓮は…!!
「あ…っ、あぁッ…!イきそぅ…っ、雅…俺の射精っ……見る?」
「っ!誰が──!」
「ほら戻るぞ。邪魔して悪かったな」
「んッ!蓮が外に出たのは…っ、俺のせいじゃねーよ?あいつはっ、自分から出て行ったんだ…、あ…んっ、…ふふっ、くくくっ…」
僕の代わりに詫びる篠を残して先に部屋を出たが、それでも八千代は僕を嘲笑うかのように言葉を投げかけた。
それをしっかり背中で受け止め、部屋に戻った僕は篠と視線を交える。
「……僕は"蓮が外に出た"なんて一言も言ってない」
「ああ。あいつ、墓穴を掘ったな。犯人の方は俺に任せろ、必ず見つけ出してやる」
「うん。ありがとう区警さん。見つけたら一番に教えてね、こっちのやり方で片を付けるから」
「おう」
篠はこの辺りの区警察を仕切るトップの一人。所謂エリート官僚ってやつだ。
だから僕の常連の中で一番、何かと世話を焼いてくれる。
「…ねぇ…抱いてよ。今夜は何をしてもいいから」
「くくっ、そりゃサービスのいい事で」
篠は妖艶に口端を上げてゆっくり僕を押し倒し、そんな彼に夜着を乱される僕はもっと妖艶に残酷なまでの笑みを作った。
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