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洋講堂再び 6
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「もう、今日は、この辺にしておこうよ。これ以上したら、俺も、抑えがきかなくなるから」
「うん、わかった」
僕は、潤に煽られ、すっかりその気になったところで、そんなことを言われたので、がっかりした。
けれど、仕方がないので僕は、あきらめて、潤のシャツから手を離した。
「明日も、してくれるの? 続き」
僕は聞いた。
「え? したいの?」
潤は、意外だというように聞いた。
「瑤、俺の悪い感化を受けているな?」
「うん、そうだよ。潤が悪いんだ」
「ふうん、そう」
潤は、むっとした顔をして、僕の襟首をつかんで、僕にキスしようと顔を傾けた。
「やめた」
潤が手を離した。
「ねえ、瑤、俺とどうなってもいいわけ?」
「いいよ」
「無理するなよ。帰ろう」
潤は、シャツのボタンをしめて、制服を整えると、僕の手を引いて、階段を降りた。
「洋輔さん、俺帰るわ」
潤が、勘定台の店主に向かって、投げやりに言った。
「コウさんに言っといて」
洋輔さんと呼ばれた店主は、作業の手を止めて、顔をあげ、
「ああ」
と返事をした。
店を出たところで、看板を見ながら、僕は、潤に尋ねた。
「もしかして、店主のヨウスケさんの洋と、コウさんの講で、洋講堂?」
「そうだよ」
「二人の店だったんだ?」
「うらやましい?」
「どうして?」
「いや、恋人同士で、店を持ってるのがさ」
「恋人同士!?」
「そうだよ? 気づかなかった?」
「全然。じゃあ、恋人に会いに行くって、階下の本屋に行くことだったの?」
「それは、そうでもないこともあるんだけど」
「どういうこと?」
「ううん。いや、洋輔さんと店の奥でやってることもあるけど、他の人とすることもあるだろうし」
「え? 何、そんないかがわしいことしてるの?」
「あー、コウさんは、いくつか別の仕事もしてるから、どうしても、そういうことがあるみたいだよ」
「何の仕事?」
「俺も、よく知らないけど、他で、夜、バーテンとか、あと、デートクラブみたいなことも、してるっぽいし」
「ふうん。いろんな人と寝てるんだ?」
「そう、あからさまに言うなよ。別に、売春してるわけじゃないんだから」
「僕だって、そんなこと言ってないけどさ」
「で、瑤、どこまでついてくる気?」
僕は、話しながら、バス停を、とっくに通り過ぎていた。
「俺は、この近くだから、ここで」
潤は、言って、バス通りから、小道に入って行った。
僕が、名残惜しく後ろ姿を見送っていると、潤は振り返って、手を振った。
僕が、手を振り返すと、潤が、ふざけて、投げキッスをしてきたので、僕は、びっくりしてみせた。
それで、僕は、少し満足して、普段乗るバス停の一つ先のバス停から、帰途についた。
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