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依存症
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放課後、潤が帰り支度をして教室を出るのを見計らって、僕もあとから、教室を出た。
潤は、僕の前を歩いていた。今日は、誰にも声をかけられないですんでいるようだった。
校門を出ると、潤が振り返った。
「瑤」
潤は、後ろ向きのまま、僕が追いつくのを待って言った。
「おい、昼休み、三年に話しかけられてただろう?」
「うん、昨日の人」
僕が潤の追求の視線を避けようとすると、
「何言われてたんだ?」
潤は、僕の肩を抱いて聞いてきた。ドキドキした。まるで恋人同士みたい。
「潤との仲をとりもってくれって」
「なんだ、そんなことか」
潤は、つまらなそうに、僕の肩から手をはずした。
僕は、潤の関心を失いたくなかったので、続けて言った。
「と思ったけど、やっぱり僕と付き合いたいって」
「え?」
潤は、びっくりしたようだった。
「で、瑤は、なんて答えたんだ?」
僕は、わざと勿体ぶってやった。
「いや、別に、何も」
日の光で透き通ったダークブラウンの瞳が、僕の目を覗き込んだ。僕は見つめられて、たじろいだ。潤は、くすりと笑った。
「俺が見つめただけで、何かの意味があると、不安になってるんだ? だいぶよくない症状だね。それとも昨日のこと思い出して見つめられただけで感じちゃった?」
「ちがうよ……」
「いずれにしても、悪い病の兆候だね。不治の病かもね。どうする?」
「どうしたら治るの?」
「治らない。ただ少し楽になる方法があるだけ」
「楽になる方法って?」
潤は、にやりとした。
「セックスだよ。気持ちのいいセックス。それだけが、つらい症状をやわらげるんだ」
退廃的な潤の言葉が、僕の健全な心を蝕んでいくようだった。
「したことない、よな?」
「うん……」
「してみたい?」
「楽になるの?」
僕は、ここ数日、いや、もっと前から胸をざわつかせているものを鎮めたかった。
「少しだけね。その時だけは。終わると虚しくなる。でもいいんだ。またすればいい」
そんなの、まるで依存症者じゃないか。脳内麻薬の薬物依存。性依存。恋愛依存。
「それで、潤は、次から次へと……してるんだ?」
「ん? 誰かから聞いたの? 今日の昼休みの上級生?」
潤は眉をひそめた。
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