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鉄格子の門
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「俺も、瑤のことは、気に入ったんだ。大丈夫だよ、一回だけで終わりにするつもりは、最初からなかったから」
森にいた時は、素直だったのに、またトゲトゲした潤に戻っていた。
「潤の家には行くよ。せっかく来たんだもん。お腹すいたし、シャワー借りたいし」
「じゃあ、飯と風呂は提供するけど、その後、ハイヤー呼ぶから帰れよ。深夜バスもあるけど」
「いい、帰らない」
「無理するなよ」
「だって、何か、事情があるんでしょ?」
「うん、実の兄じゃない」
「なんだ。早く、そう言ってよ」
「なら、許せる?」
「ちょっと、ほっとした」
「よかった」
「完全に納得したわけじゃないけど、お腹すいたから、中に入りたい」
「中に入りたいんだ?」
「潤が言うと、いやらしいよ」
「ふふ」
潤は、人が入る扉に手をかけて開けた。
「でも、潤に面差しが似ているよね?」
僕は、ずっと気になっていた事実について、思いきって尋ねた。
「譲? ああ、従兄だからね」
「そうなんだ?」
「うん」
「本当は、潤に似てるから、潤の兄さんなんじゃないかって、最初に思ったんだ。でも、怖くて、知らない近所の人で、潤の恋人なんだって、思いこもうとしてた」
「怖くて?」
「僕が、潤を傷つけることに加担してるんじゃないかって、間違ったことを、いっしょになってしてるんじゃないかって、怖かったんだ」
「そうか。実の兄じゃなくても、兄は兄だ。だから、本当はよくないってことは、俺だって、わかってはいるんだけど」
僕は、言えなかった不安を潤に伝えることができて、少しほっとした。
僕は、門をくぐり、中に入った。
「従兄ってことは、譲の親が、潤の伯父か、伯母ってこと?」
「うん、叔父」
「あの、悪いけど、家に入ったら、あんまり、そういうこと、詮索しないでくれる?」
「うん、わかった」
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