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【4章】玄関と洗面所
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玄関ポーチでドアの前に立った潤は、僕を振り返って念を押した。
「瑤、もう一度、言っておくけど、この家の住人の関係を、詮索するのはタブーだからな? いいな?」
「この家の住人って言い方、まわりくどいね」
僕は、言った。
「瑤に聞かれても、俺は、答えたくないから」
「わかった。余計な口はきかないよ」
僕は、約束した。
潤が呼び鈴を押し、家のドアを開け、僕らが玄関に入ると、美しい中年女性が僕らを出迎えた。
「まあ、貴方たち、どうしたの? 泥だらけでびしょ濡れじゃないの」
彼女は、僕らを見て驚いたように言った。
「俺が襲ったんだ」
潤がぶっきらぼうに答えた。
「襲っただなんて……。喧嘩でもしたの?」
女性は、僕に言った。
「ごめんなさいね。普段は、そんなに乱暴な子ではないんだけれど」
「大丈夫です……」
僕は、おずおずと言った。
「クリーニングに出しましょう」
と言って、女性は、僕のジャケットに手をかけた。
「あ、いや」
僕が遠慮しようとすると、
「いいのよ、遠慮なさらないで」
と言って、脱がそうとするので、困っていると、潤が、
「先にシャワー浴びようと思うから、その時脱ぐよ。だから、なにも玄関で脱がせなくてもいいだろう?」
と助け舟を出してくれた。
「泥だらけだったものだから。そうね。そうしていただいてちょうだい」
「うん。瑤、上がって」
「おじゃまします」
僕が靴を脱いで、揃えていると、
「あなたの制服も、いっしょにクリーニングに出しましょう」
と、声が聞こえたので、ふと顔を上げると、潤のジャケットの襟の内側に、女性が手を差し込んでいた。
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