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誘い
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「瑤、俺の実家に来る?」
潤が僕を誘った。
「実家って? 潤、いつも家から通っているんじゃなかったんだ?」
「うん。普段は、学校の近くのマンションから通ってる」
「え、一人暮らし?」
「違うよ。二人暮らし」
「二人暮らしって、誰と?」
家族か親戚とかなとは思ったけれど、聞いたら機嫌を損ねそうなので、言わなかった。
案の定、潤は、黙ってしまった。
「ごめん。何が気に障ったかわからないけど。潤って繊細なんだね?」
「あまりプライベートに立ち入られたくないんだ」
「ああ、そうか。潤は、いろんな上級生に声かけられるからかな? 僕も、初めて声かけられたけど、それがしょっちゅうだったら嫌だなあと思ったよ」
「そうでもないけどね。矛盾しているようだけど」
「ああ、好きなタイプだったらいいか」
「うん。瑤には、声かけられてよかったと思ってるから」
僕は、嬉しくなった。
潤が心を開いてくれるなんて、めったにないことだから。
潤は、郊外へ向かうバス停に向かった。
「瑤、来る?」
「行きたいけど、遠い? 夕飯の時間には帰らないと」
「一時間以上かかるけど、もしよかったら、家に泊まっていいから」
潤にじっと見つめられたら、どうしてこばむことができるだろう?
「わかった。家に電話してみるよ」
「ああ、母さん? 友達の家に泊まるけど、いい? クラスの友達。大洗潤君。大丈夫だよ。うん。え? いいよ、じゃあね」
僕は、携帯電話を切った。
「大丈夫だった?」
潤は、バスの時刻表を見ながら、僕に聞いた。
「うん」
僕は答えた。
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