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本音
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「そんなことないよ、僕、あまり、そういうのは苦手で」
僕は、たじたじになって答えた。
「でなかったら、森や俺の家で、あんなに大胆になれるはずがない」
潤は、性的な遊びで責めるふりして、僕の潤に対する忠誠を測ってるんだろうなと思った。潤は、人に対する不信感や警戒感が強いから。
「それは、潤を信頼してたからだよ。それに、僕だって、少しくらいは、エッチな想像することだって、あるよ……」
「どんな?」
「そんなの、人に言えないよ。それに、想像より、本物の潤がいいよ」
「ふうん。本当?」
「そうだよ。あの、僕、潤が、幸せになってほしいって思うんだ」
「なんだよ、いきなり、俺が不幸みたいな言い方して」
潤は、失敬だというような口ぶりで言った。
「そうじゃないけど」
「上から目線で言われたくないな」
潤は、憤慨したように吐き捨てた。
「違くて、潤が、僕に言ってたのと同じような気持ちだと思うけど、僕と付き合うことで、潤が、成長とは反対の方向というか、本来の潤らしさを発揮できない方向に行くんだったら、嫌だなって思うんだ」
と僕は説明した。
「それは、ないよ。俺は、そういう、俺を悪くする人間関係が多すぎだと思う。だから、人間不信だし、瑤が言ったように、いつも警戒していると思う。そういう周囲の人間を低レベルだって軽蔑もしてる。俺が陥っている状況に気づいて知っていても、見て見ぬふりで助けてくれないって。誰も助けてくれないっていう怒りとあきらめと。どうしてなんだろう? 俺を助ける能力がないのか、気づかないのか、悪意なのか」
「僕の場合は、能力がないと思う。僕に、何ができるんだろうって思う。だって、潤は優秀だもん。成績とかじゃなくて。誰でもそうだと思うけど、潤は、もっと可能性があると思う。それをはばんでいるものが多いだけで」
「俺の成績って、惨憺たるものだよ? むらがあり過ぎるから、たぶん国立大に行くのは無理だな」
「私大にいけない家庭の事情とかなさそうだから、いいじゃない?」
「いや、そうでもない。今、兄貴二人とも私立だし」
「でも譲ってもう卒業じゃないの?」
「今3年だから、留年とか、院に行くとかなければね。譲が社会人とか怖いよね」
「潤の従兄なんだから、賢いんじゃないの?」
「俺に似てたら要領悪いけど、譲は、性格が最悪のわりに要領はいいんだよね」
「性格最悪とか。そんな風に思ってるって、譲の前では、おくびにも出さないように見えるけど」
「当たり前だよ。そんなこと言ったら、何されるかわからないからな」
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