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合わせすぎ
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カップは、お揃いではなく、違っていた。
「このカップ、気に入っているんだ。自分で買ったから」
何の変哲もない、ティーカップに見えた。
「俺、自分の好みとか、ないんだよね」
「え? そう? 潤って、すごく好みがうるさそうだよ?」
潤の、持ち物や、興味、話し方から、潤が、独自の美意識を持っているように思って、僕はそれが好きだったので、驚いて聞き返した。
「ああ、ほんとは、あるんだよね。だけど、言い出せないっていうか、言うのが恥ずかしくて、だめって言われるのが怖いし、それで、長いこと、我慢していると、何が好きかよくわからなくなってるんだよ。僕が、好きなのか、周りの人がそういうから好きなのか、わからなくなるんだ」
「へえ。過剰に適応しすぎるんじゃない?」
「そう、それ。人間恐怖なのかな? 過剰に合わせすぎて自分がなくなっていくと、イライラするんだよ」
「そりゃ、我慢して合わせてるんだから、イライラしそうだね」
「我慢してるっていう意識がなくて、自動的だから、自分でも気づかないから困るんだ」
「そうなんだ?」
「だからさ、嫌だと思っても、相手の要望をくみとって、犯されるとかね」
「ええっ!? そこまで?」
「そうなんだ。それが当面、一番困ることだな。他の面でも、支障が出てきているんだけど。だから、なるべく人間と関わらないようにしてるんだけどね」
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