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切ない想い
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潤の熱い身体を、全身に感じたい。
愛撫して、蕩けさせたい。
喘がせたい。
僕の下に組み敷いて、蹂躙したい。
夕べ、潤に、立木の前で、押し倒して犯してと言われたのを思い出した。
あの時は、できなかったし、思いもよらなかったけれど、今ならできそうな気がした。
地面でもがく潤、中途半端に脱がされる制服、むき出しの肩、甘い口づけ。
僕は、切なさに泣けてきた。
草と土に汚れた潤の肌、切れた唇、唇の端から流れる血、鉄の味のする唇。
柔らかく暖かい潤の唇。
僕の手の届かないところにある、潤の心。
触れても触れても、離れていく潤の心。
踏みしだきたい。
僕を見てと言いたい。
僕の腕から離れないで、と地面に組み敷いて訴えたい。
潤、どうすれば潤、僕のところにいてくれるの?
そちら側に行かないで、僕の知らない潤の世界に帰らないで。
潤は、違う世界の住人。
僕とは違う世界の。
振り向いて、ここにいて、僕を見て、すり抜けて行かないで、硝子戸の向こうに、独りで行かないで。
中年男が、僕の前に立った。
「泣いているの?」
鞭は、机の上に置かれていた。
机の上の潤は、首を回して、潤んだ瞳でこちらを振り返っていた。
「君を泣かせるつもりじゃなかった」
中年男は、知らずに流れた僕の頬の涙を指で拭った。
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