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ロックオン
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4月1日、今日から新入社員が来るらしい。大卒生2名と転職で入ってくるのが1名……。
8時45分に始まる朝礼。全員が自席の前に立つ。
俺は自席に戻り損ね、総務の愛生の側に居た。
社長の横に、緊張の面持ちの新人、3人が並んだ。
俺との距離は机2つ分程度。彼らの表情までよく見える。
順番に名前を言うと、よろしくお願いしますと頭を下げる。
女……男……男?
「宇野 智樹です。再就職なので、少し歳がいってますが……よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる。男だった。
まぁ、紺色のスーツを着て、白と銀のチェックのネクタイをしているのだから、男に決まってるか……。
新入社員の挨拶が一通り終わった後に、社長がなにやら話し始めた。
俺の耳には内容は入ってこない。どうでも、いい。
ほっそいなぁ……。てか、あの目……、めっちゃキラキラしてんなぁ。
思わず、宇野の目に見惚れた。宇野の視線は、一瞬、俺と交差したが、すぐに慌てたように下を向いた。
「ぐふっ」
急に、横から脇腹を肘で突かれた。
視線を向けると、愛生は新入社員を見ながら口を開く。
「お前、その眼はアウト」
そう言って、腰の辺りでこっそりと手でアウトのサイン作る。
社長の話はまだ続いており、俺も視線を社長に戻し、小声で問いかける。
「なにが?」
「完全にかわいこちゃんにロックオン状態……。怖いから、やめれ」
怖いって……、そうだね、怖いよね、俺。
俺、佐藤 唯一(さとう ただひと・30)は、186㎝でかなりしっかりした体格……暇さえあれば身体を鍛えているような男だし。
切れ長の目に短髪、前髪をつんつんに立ち上げている。
でかすぎて、近くに立たれるだけで威圧感がある……と言われるので、常に笑顔を心掛けてはいるんだけども……。
「お前、好きそうだよねぇ……あの端っこの……ぐふっ」
男のコ。たぶん、愛生はそう続けるつもりだった。
言う前に俺は、愛生の脇腹に肘を入れた。
愛生は、俺の性癖……ゲイであることを知っている。会社では愛生しか知らない。
「……で、今日も一日、よろしくっ、以上」
社長の話が終わった。
全員がばらばらとお辞儀をしながら席に座る。
朝礼が終わった。
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